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安田 好隆
メキシコ

メキシコ通信~「Si se puede!」やればできるさ!~

安田 好隆
1984年9月19日生まれ。東京都出身。高校時代より指導者を目指し、卒業前から母校である國學院久我山高校の指導にあたる。横河武蔵野FCの指導を経て、2007年8月にメキシコへ。メキシコ第2の都市グアダラハラで、チーバス・デ・グアダラハラやCFパチューカのサッカースクールでの監督を経験した後、現在は隣国ベリーズとの国境の町チェトゥマルにて、メキシコ3部リーグ所属のChetumal FCトップチームで指導。また、スポーツコーディネーターとして日本から来るクラブのメキシコ遠征コーディネートやメキシコ人指導者による日本でのサッカークリニックも行っている。メキシコサッカー協会公認ライセンス レベル4(最高レベル)取得。「Si se puede!」(スィ・セ・プエデ)は、スペイン語で「やればできるさ!」の意。

メキシコ

■準決勝ファーストレグ

2010.12.28


こんにちは。前回の続きです。

現在、僕が指導しているメキシコ3部リーグにトップチームを持つChetumal FCですが、前期リーグ戦を首位で終え、2ゾーンに分けられているグループの上位各4チーム、計8チームが進む、決勝トーナメントに駒を進めました。

ベスト8でClub Americaにトータルスコア4-1で勝利。準決勝の相手は、僕が3年住んでいたグアダラハラという町に本拠地を構える、メキシコ国内で1、2を争う育成組織を持つAtlas。

2ゾーンの総合順位でAtlasを上回った僕たちは、初戦をAtlasの本拠グアダラハラで。第2戦をホーム、チェトゥマルで行います。アウェーでのAtlasとの対戦は本当に厳しいものとなりました。その厳しい戦いは、試合前から始まりました。

最初の戦いはバス移動。メキシコの最南端、ベリーズとの国境近くにあるチェトゥマルから、メキシコの中心部よりやや北に位置するグアダラハラまでの移動時間は驚きの31時間。もちろん、今までの人生の中で最も長いバス移動です。このChetumal FCが抱える移動の問題は、後のコラムで詳しく書くことにしますが、この移動距離で選手たちに疲れが溜まらないわけがありません。

土曜日の試合に合わせて、チェトゥマルを出発したのが水曜日の16時。グアダラハラのホテルに到着したのが、木曜日の23時。その日はすぐに休み、金曜日の午前中にトレーニングをして、土曜日の試合を迎えるという日程でした。
水曜日は出発前にトレーニングを行いましたが、木曜日は何もトレーニングできない状態。そして金曜日は、前日調整のため負荷を上げることができない中で土曜日を迎えるという状況です。金曜日の夜には、マッサージ師とドクターが必死の疲労回復に努めましたが、多くの選手が移動による疲れを訴えていました。当然のことですが……。

そんな中で迎えた、準決勝ファーストラウンドですが、前半から選手は疲れを感じさせない素晴らしい動きをみせてくれました。本当に「試合」になったときのメキシコ人のメンタリティーには感心させられます。前日までは、「何で飛行機での移動じゃないんだ」「こんな状態で明日の試合、全力でできるか」などと、愚痴をこぼしていたのですが、いざ本番になると本当に100パーセントの力を出してくれるのです。まぁ、それでお金をもらっているのですから、当然のことなのですが、そういった所からメキシコ人の底力を感じます。

結果は、後半ロスタイムにセンターバックの選手が負傷退場して、10人となっている所で失点し、0-1。そのときには、すでに3人の交代枠を使いきってしまっていて、そのわずかな隙をAtlasにつかれたという形です。しかし、1点のビハインドなら、今シーズン負けなしのホームで十分に取り返せる差。次週の土曜日に行われる準決勝セカンドラウンドで本当の勝負は決まります。

最後に、帰りの31時間のバス移動は、行きよりもはるかに過酷なものでした。負けた後のバス移動ほどストレスの溜まるものはありません。試合後の興奮状態の中、眠ることもできず、深夜はそのストレスを発散するかのように、選手たちは大声で歌いながら帰りました。この悔しさをぶつける場は、ホームスタジアムでの第2戦しかありません。

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