|
こんにちは。
前回、前々回に続き、今回も1月下旬に行われた、育成年代の国際大会コパ・チーバスについて書こうと思います。
今回はメキシコ代表についてです。
メキシコ代表は今大会の優勝チームであり、予選リーグでは僕が帯同していたFC東京と、また決勝では日本代表と対戦。幸運なことに2試合とも観戦できました。
彼らのシステムは1-3-5-2又は、1-5-3-2とも表現することができます。ヨーロッパではほとんどお目にかかることがなくなったシステムですが、メキシコA代表以外の各年代の代表はこのシステムを敷いています。
3バックの長所は何といっても中盤に多くの人数を置けること。サイドハーフが攻撃と守備に活発に関わることによって、ディフェンスや2トップのサポートにも入ることが可能です。ただ、中盤の選手には高い運動能力が要求され、形にとらわれないダイナミックな動きが可能なシステムといえます。
しかし、フットボールの発達により、縦へのスピードが格段に上がり、3バックの左右に空くスペースや、全体を押し上げた際の背後のスペースを素早く突かれてしまう場面が増えたことなどから、現代サッカーでは使用される頻度が減っています。
その中で、メキシコで今でも1-3-5-2が使用される理由というのは、前にも述べた「形にとらわれないダイナミックな動きが可能」という部分を非常に重要視しているのと、メキシコ国内には縦に早く攻めるチームがほとんど存在しないことなどが理由にあると思います。5枚の中盤の選手が積極的にポジションチェンジを行い、スペースを空ける、マークをずらすという動きがメキシコサッカーでは多く行われます。彼らにとって、4バックのシステムは型にはまり過ぎているという印象があるようです。
話をコパ・チーバスのメキシコ代表に戻すと、FC東京には1-0、日本代表には2-1での勝利でした。どちらの試合もかなり似たような展開になったのが興味深い所でした。際立ったのはメキシコ代表の試合運びの巧みさ。0-0の状態と、リードしている状態とで、フットボールの質を大きく変えてきます。
1点リードした瞬間に、無理に攻めるのをやめて、ボールポゼッションをDFとMFの間で巧みに行い始め、詰まったら縦の深い位置にボールを運び、ボールを奪ったら、またポゼッションを開始する。日本代表との試合では前半の早い段階に失点したものの、前半のうちに逆転に成功すると、後半は、ほぼボールを回しているだけで試合を終わらせました。観客もそのボールポゼッションが始まると、パスがつながるたびに「オーレ! オーレ!」とパス回しを淡々と行う選手にエールを送ります。
こうなると1-3-5-2の長所が有効に使えるわけです。DFとMFの人数を合わせると8人、さらにGKも合わせれば9人になるメキシコ代表に対し、相手は8人の選手でプレシャーをかけにいっても1人余る計算になります。さらに4バックの場合、サイドバックが前にプレッシャーをかけにいけば、メキシコ代表の2トップとセンターバック2枚が2対2の状況になります。そうなった状況でポゼッションが詰まれば、相手のサイドバックの裏の空いたスペースに長いボールを入れてFWを走らせる。相手チームにボールを奪われたとしても、その位置は常に敵陣サイドの深い位置。つまり、いちばんメキシコ代表ゴールから遠い位置でしかボールを奪われないことになります。
FC東京も1点を先制されてからは、まったく同じ形で試合を「終わらせられた」といった感じでした。1-3-5-2という布陣、メキシコサッカーの長所であるポゼッション能力を最大限に生かした試合の進め方だなと感心しました。
これは、育成年代から自分たちが勝っているときの試合の進め方、負けているときの試合の進め方を、選手がよく理解している証拠です。また、フットボールは、90分を通して相手と駆け引きを行うスポーツ。あらゆる状況の中で自分たちのストロングポイントを生かせる状況をどう作るか? また、相手のストロングポイントをどう封じるか? その重要性を今大会のメキシコ代表の戦いを見て感じました。 |