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安田 好隆
メキシコ

メキシコ通信~「Si se puede!」やればできるさ!~

安田 好隆
1984年9月19日生まれ。東京都出身。高校時代より指導者を目指し、卒業前から母校である國學院久我山高校の指導にあたる。横河武蔵野FCの指導を経て、2007年8月にメキシコへ。メキシコ第2の都市、グアダラハラに本拠地を構える、チーバス・デ・グアダラハラのサッカースクールで監督を務め、今シーズンからPachuca ADALUのU-15監督に就任。また、スポーツコーディネーターとして日本から来るクラブのメキシコ遠征コーディネートやメキシコ人指導者による日本でのサッカークリニックも行っている。メキシコサッカー協会公認ライセンス レベル3取得。「Si se puede!」(スィ・セ・プエデ)は、スペイン語で「やればできるさ!」の意。

メキシコ

■システムの長所と短所

2009.6.14

こんにちは。

前回のコラムの続きです。

前回は僕が普段通っている、メキシコのサッカー指導者養成学校の「指導能力の養成」という授業から、フォーメーションとシステムの違いや、テクニック、戦術、戦略の定義を紹介しました。

今回は、それを踏まえた上で『システムの長所と短所』を紹介したいと思います。

1-4-4-2 1-3-5-2 1-4-3-3 1-3-4-3などサッカーにはさまざまな戦い方があるのはみなさん、ご存知の通りです。しかし、各システム(フォーメーション)の長所と短所は何か? と聞かれたときに正確に答えられるでしょうか?

今回紹介するのは、現在のメキシコトップリーグで多くのクラブが採用している1-5-3-2。

1-5-3-2

まずは、長所と短所です。

<長所>
☆攻撃時に容易にポジションチェンジができる。
☆サイドからコンスタントにポゼッションをスタートできる。
☆ディフェンスにおいて、数的有利を保つことができる。
☆ディフェンス時、さまざまな形、そしてグループにおいてカバーリングができる。
☆ディフェンスの人数が多いため、ZONE1とZONE2での体力消費が少ない。

<短所>
☆サイドバックと中盤の前の2枚の体力の消耗が激しい。
☆攻撃に関わる人数が少ない。

講師がいうには、基本的に1-5-3-2で戦うときはフォワードを2枚置くのではなく、1枚のセンターフォワードとウイング。そして、逆サイドの攻撃的ミッドフィルダーがウイング的な役割もこなす必要があるとのことです。そうしないと前にボールが入ったときにタメができず、サイドバックが上がる時間が作れないと。

確かにセンターフォワードを2枚置いて、その2枚にマンツーマンでマークにつかれるとFWにボールが入ったときに長時間キープするのは難しいですが、比較的スペースがあるサイドに1枚のFWが開いていれば、グラウンドの中央で厳しいプレシャーを受けるよりもサイドバックが上がる時間を作れます。

こういったシステムの長所・短所を理解すると、相手のシステムに合わせて、どこで数的有利や局面的に有利な状況を作るのか? というのを考えるのが楽しくなってきます。

例えば、1-5-3-2の場合、相手が4バックだったとしたら、FWが相手のセンターバックと2対2の状況を作ろうとすると、相手のサイドバックがカバーに入らなければならない状況ができ、それによって生まれたスペースを自チームのサイドバックが利用できる状況が生まれます。

図に表すと、こんな感じです。

生まれたスペースを自チームのサイドバックが利用

こういった、試合を有利に進めるための戦略を戦術練習で具体化していくのです。
また、このシステムは点を取りにいかなければいけないとき、1-5-2-3(2ボランチ)に変更する場合が多いとのこと。実際にこの1-5-3-2を自分の指揮するチームで採用している講師の言葉は非常に説得力がありました。選手の能力では劣る彼のチームをリーグ戦上位8位で行う決勝トーナメントに進めましたしね。

しかし、自分の指揮するチームのシステムを決定する際に最も重要なのは、各選手の特徴に合わせたものにしなければいけないということ。
例えば、1-5-3-2を採用する場合、サイドバックにはスタミナがあり、上下運動を頻繁に行える選手。ウイングには、ボールキープ能力に優れ、仲間のためにスペースを作り出す動きができる選手。逆サイドの前の中盤にも同じくスタミナに優れたウイング的な役割もこなせる選手が必要になります。

そういった意味で、まずは自チームの各選手の特徴をしっかりと把握する必要があるのです。そして、チームに合ったシステムを選択する。
まぁ、バルセロナのように伝統のシステムも持っているチームは、それにあった選手補強や選手育成をすればいいのですが……。それには、当たり前ですが資金力や名声、そして下部組織までの哲学の共有なども必要ですからね。なかなかできるものではありません。多くのクラブは、下部組織の哲学は一貫していても、トップチームは監督によりけりでしょう。

メキシコの育成年代も6月中にシーズンが終わり、プレシーズンに入ります。僕も来シーズンは恐らく一つ上のカテゴリーを指揮することになりそうなので、選手もガラッと変わります。この授業で学んだことを生かして、来シーズンも頑張りたいと思います。

それでは、また。

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