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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■マクドナルドと先週からFA

2009.11.5


UEFA B(FAレベル3)のコーチングライセンス講習が始まりました。レベル1、レベル2と1年ずつ通ってきて、いよいよレベル3のライセンス受講となりました。

イングランドのライセンスは基本的にレベル1~4の4段階あります。レベル3はUEFA(ヨーロッパサッカー協会)B、レベル4がUEFA Aライセンスとなり、プロクラブでトップチームの監督になる指導者は特別に招待され、Proライセンスを受けることになります。

こう書くと、ライセンスとしてはかなり長い道程のように感じるかもしれませんが、イングランドでは各County FA(日本で県のサッカー協会にあたる)やプロのクラブで年間を通して数多くのコースが開催されるため、受講するチャンスは多く、その門戸は経験、国籍、性別等に限らず、誰にでも開かれています。ただし受かるかどうかは全く別問題ですが……。

日本ではまだライセンスコースの数が、さまざまな理由から少なく、「待ち」の状態も多いと聞きます。そういった意味ではイングランドのほうがライセンスを受けるチャンスは多いといえるかもしれません。

それを可能にしているのも、FA(イングランドサッカー協会)の方針として、指導者育成やグラスルーツの環境整備を積極的にして、裾野を広げる努力をしているということがあります。

そこに大きく関わっているのが、実は誰もが知っている、誰もが口にしたことのあるファストフードチェーンの「マクドナルド」。この「マック」がFAをスポンサードして、数多くの企画を実行しているのです。

今受けているライセンス講習の教本にもマックのロゴが入っていますし、地域のアマチュアクラブが「チャータースタンダード」というクラブとして認可されると、資金援助を受け、ユニホームにはマックのロゴが入ります。

その他にもさまざまな少年サッカー向けイベントをFAとマクドナルドで開催しています。グラスルーツを中心としてサッカー協会のスポンサーをするというのは、なかなか面白いスポンサーシップの在り方ではないでしょうか。

協会としては選手の育成、環境整備は欠かせない仕事ですが、選手育成やグラスルーツは直接的にお金を生み出せるわけではありません。そこでスポンサーシップが必要になるのですが、通常、そういったメディアを通して表に出ない、広告価値の低いと思われるものに関して、企業側は手を出しにくいでしょう。

しかしマクドナルドとFAは非常に良い関係を築いているといえます。イングランドの場合、多くの子供がフットボールをして、必然的にその家族もフットボールに関わることで、子供、またその家族にフットボールが与える影響は大きいといえます。マクドナルドのおもな消費者は子供や子供連れの家族。FAをスポンサードすることで、彼らに対し、フットボールを通して良いイメージを与えられるわけです。

FAは選手や指導者の育成、グラスルーツの環境整備のための資金確保ができ、マクドナルドはメーンターゲットの客層に対しての広告ができ、良いイメージを与えることができる。そして何より子供がフットボールを楽しめる機会が増え、指導者も数多くのライセンス講習を受けることができ、クラブの環境も整い、すべて選手のプラスになるのです。

マクドナルドが世界的な大企業であるから可能にしている部分も確かにあると思いますが、一方的にスポンサーを「お願い」するという形ではなく、関わるすべての人、そしてその中心にある子供や選手のためになる。マクドナルドとFAの関係は、スポーツを持続的に発展させるための、一つのヒントかもしれません。

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