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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■トランジションの対応

2009.10.13


先日、トランメアのユースチームを見て、久々に昨シーズンともに過ごした選手たちと会いました。U-16からフルタイム契約のユースチーム所属となり、彼ら自身にもさまざまな変化があるようでしたが、顔も以前より引き締まった感じで、順調に成長している印象を受けました。

フルタイム契約のユースチームとなると、お金(奨学金)をもらってプレーするようになり、トレーニングも午前中からあり、授業もクラブ内に先生を招いて受ける形になります。

週2、3回、夕方からトレーニングだったU-16時代と比べると大きな変化です。2年後、プロの世界に飛び込む選手はそれよりもさらに大きな変化があります。フットボールのレベルが上がるのはもちろん、周囲の期待、経済力、生活スタイル、さまざまな変化が起こるでしょう。その変化がよくも悪くも選手に少なからず影響を与えるのはいうまでもありません。

こうした変化の時期をイギリスではトランジションと呼びますが、そのトランジションはサッカーキャリアの中でも数多くあり、カテゴリーが上がるという変化や、キャリアが終わる引退の他にも、ケガの前後で起こるトランジション、移籍によるトランジションなどさまざまな状況が考えられるでしょう。

そのようなトランジションにいかに対応していくのか、また選手がトランジションを経て順調に成長していくための最適な環境とは何か、その環境作りをどうすればよいのかといったことを、現在学校で学んでいて、個人のリサーチでも進めています。

さまざまなトランジションの中でも、キャリアのステップアップを考えた場合、特にユースチーム以降(17歳~21歳)の変化に対応できるかどうか。これが一つのポイントだという認識はイングランドでも大きいです。

プロ契約をしても、そのチームのトップでプレーする機会がなく、下部リーグのクラブへ移籍する選手も少なくありません。よほどの選手でない限り、リザーブチームを経由してトップへ上がるのですが、このシステムに警鐘を鳴らすのが、リバプールのベニテスやアーセナルのベンゲル等の外国人監督です。リザーブチームはほとんどが21歳以下の若手で編成されていて、リザーブリーグの試合数は年間でトップチームの半分ほどです。

これをスペインの場合と比較すると、スペインではBチーム(リザーブ)が、下部リーグに組み込まれているので、観客もそれなりにいて、相手もベテランを含んだプロで、試合数もトップとほぼ同じ。すべてが勝負のかかった戦いであり、より「トップ」に近いゲーム環境。

レアル・マドリードのBチームで監督経験を持つベニテスは、このイングランドの育成システムを問題視しているのです。全く違うゲーム環境でプレーしている選手を突然使うのは、監督にとってもかなりのリスクがあるはずです。

イングランドのリザーブリーグもレベルは高いと感じますが、それでもゲーム環境という意味では、プレミアとは大きな違いがあります。その変化に対応するには、フットボールのレベルだけでなく、心理面も含めさまざまな要素が必要なのかもしれません。

トランジションにおいては、選手個人のパーソナリティーや経験が大きく影響するのは間違いないですが、それと同時に周囲のサポートという要素も必要です。ここでのサポートとは選手のためにすべてをしてあげるということではなく、環境を含め選手が変化に対応できるように育成するということがメインです。

それでは、実際にトランジションに対応するにはどういったサポートをしていけばよいのか。今後イングランドの例を少しずつ紹介していければと思います。

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