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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■Social support

2009.9.14


「トップレベルで活躍できるフットボール選手を輩出するには何が必要なのか?」僕が今大学で学んでいるコースのメインテーマは簡単にいえばこのようなことです。

FAやイングランドの各クラブの考えとも共通するのですが、基本的に4つの要素──「technical(技術、戦術的要素)」「Physical(体力的要素)」「Psychological(精神的要素)」「Social(社会的要素)」──から選手のサポート、強化を学んでいきます。

イングランドのコーチングライセンスコースでも、これらの要素が「4 corner model」と呼ばれ、常にこの4つの要素を向上できるようなトレーニング、コーチングを目指してコースが組まれています。

この4つの要素のうち、”technical “,”physical”,”psychological”は、比較的わかりやすいと思います。どれもフットボールに欠かせない大切な要素であることは明白です。

それぞれの要素を強化するスタッフも、プロのクラブであれば当たり前のようにいます。Technical→監督、コーチ(テクニカルスタッフ)、Physical→フィジカルコーチ、トレーナー、PT、栄養士、ドクター、Psychological→スポーツ心理学者、メンタルコーチ……といった具合です。

それでは最後の要素である”Social(社会的要素)”についてはどうでしょうか?僕は最初のころ「社会面から選手をサポート、強化する」というイメージがなかなか浮かびませんでした。それに該当するスタッフも、なかなか思い浮かびません。

しかし、この社会的要素はイングランドの中でも近年では特に重要視されています。Socialは簡単にいえばフットボールのピッチ外で選手に関わるすべてのこと、と考えられます。

他の3つの要素が、基本的にはフットボールのプレーに関連するピッチ内での要素であることと比べ、このSocialだけがピッチ外での要素となります。これは家族や周りの人たちとの人間関係、学校教育、経済的問題、環境の変化など、あらゆる面において、選手がフットボールのパフォーマンスを上げる上で、障害となるものを取り除き、最良の環境を作り上げることが目的となります。

それでは、どういった人たちがこの役割を担うのか。イングランドのプロクラブにはHead of Education and Welfare(HoEW)という役職が育成組織に置かれています。

彼らの役割はまさに社会面での選手のサポート。学校や親と連携を取り、コミュニケーションを取る中で、選手の状況を把握し、何か必要なアプローチがあれば、それに対してのプランを作ったり、学校の進路相談をしたり、親元を離れて暮らす選手には親代わりとなり、下宿先の手配や、生活のサポート、プロ予備軍となれば、インタビューの受け答えや、プロとなるための私生活の教育など、挙げればきりがないほど、さまざまなピッチ外での仕事があります。

これらのピッチ外での仕事も、すべてはピッチ内でよりよいパフォーマンスを出すため、よりよい選手を輩出するため。そのためにできることは、考え得ることすべてをする。さすがプロのクラブですが、これらもすべてをやってあげるのではなく、あくまで「パフォーマンスを上げるために必要であるなら」ということが前提にあります。

社会面でどういったサポートが必要なのかということに関しては、科学的にもいくつか文献が出ていたり、大学の授業でも取り上げられたりと、研究が進んでいます。

ピッチ内での練習の時間は1日約2時間。それ以外の22時間をいかに過ごすのか。Social(社会的要素)が与える影響は、案外大きいものかもしれません。

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