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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■ポリバレントなスタッフ

2009.7.30


実は今、日本に一時帰国しています。普段はイングランドでの生活が当たり前になるので、こうして日本に帰ってくると、日本では当たり前のことでも、「発見」になって、改めて気づくことが多々あります。

「日本が」と、一概にいうことはナンセンスなのかもしれませんが、それでも客観的に見れるようになることは、自分にとってはよかったと感じます。

その中で一つ、気づいたことを挙げると、日本ではサッカーに関わる人が「マルチプレーヤー」であることが多い、ということです。最近の言葉でいうと「ポリバレントでなければいけない、ということでしょうか。

これはサッカーをする選手が「ポリバレント」だということではなく、その周りでサッカーに携わる人たちにいえることです。

例えば、高校のサッカー部の顧問をしている方を例に挙げると、その方の仕事の中には、もちろん指導者としての役割があり、さらに練習試合を組んだり、遠征をオーガナイズしたり、さまざまな雑務も行うマネージャーの役割もあり、試合のときには審判にもなり、さらにフィジカルコーチやゴールキーパーコーチ、トレーナーという役割まで、それぞれをどこまでこなせるかは別として、1人としての仕事が非常に多岐に渡るケースが多いです。しかも本業である教師という仕事を務めながら、です。

もちろんチームの規模やレベルによって、抱えるスタッフにも違いがありますが、日本のほとんどのチームでは、1人3役4役は当たり前なのではないでしょうか。

僕も以前はその環境にいたわけですが、少し違和感を感じました。それが悪いというわけではなく、むしろその人にとってはいろいろな役割をこなすことで幅が広げられ、成長するためにプラスになると思いますし、さまざまな側面から選手を見れることもプラスだと思います。しかしそれと同時に負担も増え、それぞれの仕事の質が落ちる可能性もあるかもしれません。(それを負担に感じない人もいるでしょうが)

イングランドの場合は、よくも悪くも分業制です。小さいクラブであっても監督がいて、マネージャーがいて、少なくとも現場サイドとマネージメントサイドにはそれぞれスタッフがつくことがほとんどです。指導者が審判をすることはまずありません。プロのクラブになれば、トレーナー、スポーツ科学者、スポーツ心理学者、理学療法士、栄養士など、さまざまな役職に分かれます。

「イングランドのほうがサッカーに関してお金を持っているからそういうことができる」ということも考えられるかもしれませんが、イングランドでもほとんどのクラブがボランティアで成り立つような小さなクラブです。プロのクラブでも、下部組織のコーチはほとんどがパートタイムで、他に本業を持っている人たちです。だからこそ分業で成り立つのでしょうが。

それよりも、単純にサッカーへの関わり方が幅広く、文化としてあるものが大きいのかもしれません。例えば審判にしても、15歳くらいで、すでに審判の道を志し、ユースの試合で笛を吹いている者もいれば、選手経験はなくても最初からスポーツ科学者を目指して大学で勉強したり……というように、サッカーに関わりたいという人が多くて、その方法もさまざまです。

日本でもプロのサッカーという意味では、多様な関わり方を持った人がいますが、そうではない大多数のチームでは、誰かがポリバレントにならざるを得ません。それによりメリットもデメリットもあり、逆にイングランドのように分業で多くの人が関わることにも、メリット、デメリットがあります。

しかし今後の日本サッカー界の発展を考えると、1人にかかる負担を少しずつシェアしていけるような環境も必要なのではないかと思いますし、多くの人が自分なりの方法でサッカーに関わっていくことも、それがどれだけ小さいことであっても大事なのかなと感じました。

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