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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■自己能力の自己理解

2009.7.1


トランメアのU-16チームから奨学生契約をする選手の選考過程で、ある選手に対して意見がスタッフ間で分かれました。その選手はセントラル・ミッドフィールダー。いわゆるアンカーのポジションで、技術はそれほど高くないものの、ボール奪取能力が非常に高く、広いエリアをカバーできるスタミナも兼ね備えていました。

人間的にも素晴らしく、非常にいい選手なのですが、チームには他に3人の優秀なセントラル・ミッドフィールダーがいて、その3人の契約がほぼ決まっている状況だったので、彼の契約は難しいというのが大方の意見でした。

僕としても同じ考えで、プロとしてのポテンシャルを考えると厳しいと感じていました。しかし、1人のコーチは一貫して彼を推していました。

そのコーチが彼を推した理由、それは彼自身の能力というよりも「彼が自分の能力を理解している」というポイントでした。彼は自分のストロングポイント、ウイークポイントというものを誰よりも理解していて、それをプレーにつなげることができる。つまり「自分に何ができるか(できないか)を知っている」こういった選手はこれからも生き残っていける、と、そのコーチはいっていました。

彼は派手なプレーというものは一切しません。ものすごいドリブルやスピード、パスセンスを持っているわけではなく、身体能力も普通です。しかしゲームの流れを読み、局面でボールを奪うセンスがある。ポジショニングも素晴らしく、それがチームを救っているのですが、彼の特長はなかなか目につきづらいものです。

しかし、彼はチームにおける自分の仕事を理解し、自分の特徴の中でできることを100パーセントこなそうとしていました。逆にいうと「得点やアシストという部分では、自分は輝けない」といったような割り切りもありました。それで評価を落とすコーチもいるのでしょうが、そのコーチは、その割り切りこそを評価しました。

育成年代であれば、当然できることの幅を広げてあげることが大事です。しかし、ある程度のレベルまで達してくると、自分のストロング、ウイークもはっきり見えてきます。そこでウイークに背を向けるのではなく、それを受け入れた上で、どうストロングを生かしていくのか。これは子供にとって、特にプロ組織にいるような子にとっては簡単ではありません。

もちろん努力は必要ですが、ウイークを直すというよりも、それを受け入れ、いかにストロングを生かしていくのか、これも大事な要素なのかなと感じました。

スピードがあるのに、そのスピードにおぼれて生かし方を知らない、という選手もよく見かけます。自分のストロング、ウイークを含め、自分自身にきっちり向き合って、自分にできること、できないことを知るということ。それも大事な「能力」の1つなのかなと感じました。

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