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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■ストリートサッカー

2009.6.23


前回のコラムでジュニア年代でのトレーニングでは「楽しむ」ことをまず大事にすると書きましたが、以前訪れたポルトでも、同様に楽しさを重視するユニークな方法でトレーニングをしていました。

FCポルト下部組織の練習場は数年前にでき上がったばかりの、新しくきれいな施設で、立派なクラブハウス、ロッカールームの横に人工芝のピッチがあるのですが、そのさらに奥に進むと、ネットに囲まれたスペースの中に、土のフットサルコートがありました。

真新しい練習場で、お世辞にもきれいとはいえないその土のピッチ。しかもその土のピッチ表面は、少しぼこぼこしていて、石も混じっている。そのピッチを見て日本の田舎にある空き地を思い出しました。

隣のきれいな人工芝のピッチと並べ、どちらでサッカーをしたいかと聞かれたら100パーセント人工芝のピッチです。

昔からあったものを、そのまま残しているのか? それにしても何故? 
そこでポルトのスタッフに聞いてみたところ、あのピッチは練習場と同様に、新しく建設したピッチらしく、トレーニングでも使っているというのです。

なぜわざわざ空き地のような土のピッチを作ったのでしょうか。これはFCポルトの下部組織ディレクターの考えが反映されたもので、「ストリートサッカー」の再現のために作ったピッチなのです。

そのディレクターによると、昔から「天才」と呼ばれた選手、ペレやマラドーナ、エウゼビオ、ジダンなどの選手は、幼いころから路地裏や空き地で、本当のストリートサッカーをして育ってきた。ストリートサッカーにはサッカーにおける大切な要素が数多く詰まっている。しかし現在は環境も変わり、ストリートサッカーを楽しむ場所も少なく、親も安心して外で子供たちにサッカーを楽しませることができない。だからクラブ内でストリートサッカーを再現するためにそのピッチを作った、と話してくれました。

ストリートサッカーに含まれる、サッカーにおける大切な要素とは、サッカーを自由に楽しむことだったり、遊びだからこそ生まれるイマジネーションだったり、ボールのコントロールが難しい場所でも、その環境に適応できる技術であったりと多岐に渡ります。

実際にそのピッチでプレーする子供たちを見たのですが、指導者もそのときばかりは状況を見つめたり、得点を数えるくらいで、何もコーチングをしません。ルールは手を使わずにボールをゴールに入れる。それだけです。それ以外の制限は特にありません。そのコートは壁とネットで囲まれているので、ボールが外に出ることもなく、止まらずに続いていきます。

印象的だったのは、子供たちが本当に楽しそうにプレーしていて、思いっきり感情を表していることでした。ゴールを決めれば全員で抱き合って大喜びし、試合に勝てば歌を歌い、負ければ怒りだす。まさにストリートサッカーだと感じました。

さらにこのピッチでプレーすることで、サッカーに必要な技術や駆け引き、想像力を自然と学んでいくと話していました。

日本でも「サッカーをして遊ぶ」ことは徐々に少なくなっているようですが、洗練された練習だけでなく、ストリートサッカーをして遊ぶことも、時には必要なのかもしれません。

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