|
イングランドのグラウンドといえば、きれいに整備されたピッチを思い浮かべる方が多いと思います。イングランドに限らず、海外のグラウンドは芝で、芝は土のグラウンドよりプレーしやすい。そういうイメージが一般的ではないでしょうか。
実際、イングランドの場合はすべてのグラウンドが芝で、土のグラウンドでフットボールをする光景は見たことがありません。ただ、芝といってもその質はさまざまです。プレミアリーグのクラブなどは下部組織も含め、当然素晴らしい天然芝のグラウンドを持ち、管理体制も非常にいいです。リバプールFCのアカデミー(下部組織)は、10面ほどのきれいに整備されたピッチを持っています。
そんなグラウンドでプレーするのは選手にとって喜びであり気持ちのいいものですが、そういったグラウンドでプレーできるのはほんの一部の選手のみ。ほとんどのアマチュア選手は、整備のされていない雑草のようなグラウンドでプレーします。
芝は深く、表面はぼこぼこで、パススピードは遅くなり、走っていても重さを感じるグラウンドです。雨の多いイングランドでは、そのグラウンドがさらに重くなることも多いですし、冬の寒い時期になるとグラウンドが凍結することもあり、試合が延期になることもよくあります。その影響で春には延期された分の試合が回されるので、シーズン終盤は試合が増えるものです。
日本の一般的な土のグラウンドと比べて、いい環境といえるかどうかは疑問です。ただ、そのグラウンドがプラスに働くこともあります。それがイングランドの選手の強みとなっているかもしれません。
日本人がイングランド人のプレーを見たときに、まず感じるのが「パススピード」の違いです。イングランドでは速く打ち込むパスのことを”Ping!”といったりもするのですが、基本的にパスのスピードは非常に速いです。指導者が「パススピードを速くしろ」といっているわけではなく、自然にそのスピード感覚を学んでいるのです。
それはこのグラウンドの影響も大きく、誰もが小さいころは芝の深く重いグラウンドでプレーする中、普通にパスしていたらどうしてもパススピードは遅くなり、つながらなくなります。意識して速いパスをしないと、パスはつながらず、それを繰り返すことで無意識にパスが速くなると、見ていて感じます。
さらに、身体のバランスや強さも、この悪コンディションのグラウンドの中で鍛えられています。足場が不安定で重いグラウンドでプレーすること自体が、そのままフィジカルトレーニングにつながるような感覚があります。僕も自分でプレーしているときには、土のグラウンドと比べてかなりきつい、プレーしづらいと感じます。テクニックのある選手であっても、このグラウンドの上でバランスを失わず、倒れることなくプレーできなければ、望むプレーはできません。
こうして条件の悪いグラウンドでのプレーを通して、選手はさまざまなことを無意識に学んでいくのです。中には、あえて条件の悪いグラウンドでプレーさせるクラブもあります。いいグラウンドでプレーすることが常に幸せなことなのか、考えさせられてしまいますね。 |