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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■降格する大クラブ、昇格する小クラブ

2009.5.27


昇格プレミアリーグは全日程が終了。前節に決まったマンチェスター・ユナイテッドのリーグ3連覇は、日本でもよく知られているところだと思います。そこで最終節の注目は「残留争い」に絞られていました。

すでに最下位ウェストブロムウィッチの降格は決まっていたので、残り2チームが降格します。降格の可能性があるのは4チーム。19位ミドルズブラ、18位ニューカッスル、17位ハル・シティ、16位サンダーランドが残留を決めるため、最終節にすべてをかけて戦いました。

この4チームはすべてイングランドの北東部に位置するチーム。中でも同じ州に本拠地を置くニューカッスルとサンダーランドは長い間ライバル関係にあり、その対戦は「タイン・ウェア・ダービー」と呼ばれ、イングランドの中でも熱いダービーの一つとして知られています。

結局最終節では4チームすべてが負け、ミドルズブラ、ニューカッスルの2部降格が決定。最終節のテレビ放送は残留争いチームの対戦が中心だったのですが、降格が決定後、スタジアムで涙を流す子供の姿が非常に印象的でした。

ニューカッスルは毎試合約5万人のサポーターがスタジアムに集まり、経営規模もヨーロッパでトップ30に入る伝統ある名門クラブであり、ミドルズブラも4シーズン前にはUEFAカップ準優勝を果たしたクラブです。

これらのクラブはトップを脅かす位置にいても全くおかしくないですが、最近ではこうした逆転現象がよく起こっています。2部に目を向けてみても、今シーズン3部に降格するのはチャールトン、サウサンプトン、ノーリッチという数シーズン前までプレミアリーグに在籍していた名門クラブ。

そういった名門クラブが下部リーグへ落ちていく中、反対にあまり知られていない小クラブが躍進を遂げているケースも増えています。

プレミアリーグ残留を決めたハル・シティは5シーズン前までは4部リーグのクラブでありながら、今やプレミアリーグ残留するまでになりました。2部で快進撃を演じたスォンジーというウェールズのクラブも5シーズン前までは4部に在籍し、昨シーズン3部から昇格したばかり。

これらのクラブは外国資本が入ってきたわけでも、特別な補強をしたわけでもありません。戦力的には明らかに劣る中、「お金のある」クラブに対して対等に渡り合い、時には番狂わせを演じています。

こうした逆転現象はなぜ起こるのか。理由は一つではないと思いますし、イングランドのメディアやサッカー関係者も「クラブの一貫性」や「監督の能力」「戦術」など、さまざまな要素を挙げています。

僕もそういったクラブを外側からしか見ることができていませんが、個人的にはジャイアントキリングにフットボールの大きな魅力を感じますし、小クラブに注目してもいます。その中で、それらのクラブから共通して感じることは、クラブに関わるすべての人が同じ方向を向いているということです。それはシンプルにいうと選手も監督もフロントスタッフもサポーターも「チームに対してネガティブな発言をしていない」ということです。

逆に名門といわれながら落ちていくクラブは、選手間で、あるいは監督がクラブに、またはサポーターがクラブに、など、クラブに関わる人の間で不平不満口にするケースが目立ちます。勝っていないから、上手くいっていないから、こうしたネガティブな発言が出てくるとも取れますが、逆にこういった発言が出てくる体質だから結果が出ないという気もします。それはトッププロのレベルでなくても、僕が関わってきたクラブでの経験の中でも感じることです。

力の劣るクラブが番狂わせを起こしていくには、クラブに関わるすべての人間が心を一つにするというのが最低限の条件なのではないかと、今回の降格、残留を見ていて感じました。

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