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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■ポルトの考える「プレー」

2009.5.24


前回に引き続き、ポルトで感じたことを紹介していきたいと思います。FCポルトではスタッフ間で同じコンセプトのプレーモデルを共有し、それを軸に指導をしていると書きましたが、そのプレーモデルと、それを実践するためのトレーニングについて今回は話を進めていきたいと思います。

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、プレーモデルは「試合の場面で実際に表れるプレー」がすべての軸となっています。そのため、トレーニングでも試合の中で目指すべきプレーモデルに近づけ、それを習慣化することをすべての目的としています。

すべての基準は「プレー」であるため、フィジカルの強い選手、テクニックのある選手、戦術理解の高い選手などといった評価はなく、プレーモデルに沿ったより良い「プレー」ができるかどうかが評価となってきます。そして、テクニック、フィジカル、メンタル、戦術などすべての要素が複雑に絡み合い、一つのプレーを形成している──という考えが根本的にあるのです。技術、体力、メンタルではなく、「プレー」が大事なのです。

例えばゴール前でのシュートの場面。狙った場所へ正確に蹴れるキックの技術はもちろん、相手をかわすための一瞬のスピード、選択肢の中からシュートがベストだと判断する能力、ゴール前で冷静にゴールを見ることのできる落ち着きなど、多くの要素があります。また個人だけで成り立つものだけではなく、他の選手の動きなどチーム全体としてとらえたり、相手やピッチコンディション、天候といった外的要因など、さまざまな要素が絡み合い1つのプレーを形成しています。

チーム、または個人の問題として、表面的には一つの要素(例えばキックの精度)が問題に見えても、その問題には目には見えない他のさまざまな要素(例えばその瞬間の集中力や他の選手とのプレー意図のズレ等)が存在している可能性があるのです。

そういった考え方があるため、その複雑に絡み合った要素を別々に取り出してトレーニングすることは効率的ではないのではないか。ゲーム中における、より良いプレ?を習慣化させることが、試合のパフォーマンス向上につながるのではないか、と考えているわけです。

そのため、実際のトレーニングにおいても、そのほとんどがゲーム形式となっています。試合の中で出た課題、それから次の試合で表れるであろう課題のバランスを考えながら、その課題が表れやすいようにトレーニングを設定し、プレーモデルに近づけるべくその課題に取り組んでいきます。

FCポルトでは13歳まではプレーモデルという全体像を基準にする前に、個人のテクニックに比重を置き、数多くボールに触りつつ、フリーゲームを豊富に取り入れながら、サッカーを楽しむことにも力を入れてトレーニングしています。しかし、14歳以降になると段階を追ってプレーモデルの習慣化に取り組んでいます。

僕が見た限りでは、そのトレーニングの効果は確かに試合に表れていて、チームのプレーと、それを作る個人のプレーにしっかりとした意図が見え、「なんとなく」、その場その場でプレーしているような感はありませんでした。またその意図は年齢を追うごとに明確になっているようにも感じました。

こうしたポルトのスタイルは、数多くのサッカーに対しての考え方、取り組みの一つです。同じポルトガル国内でも、ルイス・フィーゴやクリスティアーノ・ロナウドを輩出したスポルティング・リスボンのように、ポルトとは違うアプローチで個人のテクニックに重点をおいてトップ選手を生み出したりと、考え方はそれぞれだと思います。

しかしポルトのようにサッカーを非常に深い部分まで研究し、導きだした考えに基づいた「徹底力」には、サッカーに対しての志向やトレーニング法と同様に、僕自身学ぶものが多くあります。パフォーマンスを向上させる上で、どこまでディテールを見て実践できるかという部分は、どこのサッカーにも共通して必要ではないかと感じました。

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