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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■ポルトの育成法

2009.5.19


今シーズンのリバプールでの活動がほぼ終わり一段落しましたが、僕自身はまだまだ休むわけにはいきません! というわけで、今週はポルトガルのポルトに来ています。こうして定期的に外へ出て刺激を求めることは、僕にとってモチベーションを保ち、さらに上を目指す上で欠かせません。

今回は完全に個人で来ているのですが、以前よりFCポルトのフットボール、育成に興味があり、リバプールの友人を通してFCポルトのスタッフを紹介してもらい、数日間ポルトで勉強させてもらっています。

イングランドではあり得ないようなオープンで温かい対応をしていただき、さまざまなものを見て、話して、感じる中で、新しい発見もあり、紹介したくなるようなことも数多くあります。さて、今回はその中から、サッカーに対しての考え方や、指導法の具体的な部分の前に、僕がいちばんに感じた「プレーモデルの明確化→共有→習慣化」に関して少し紹介したいと思います。

クラブとしてどういったプレースタイルを目指すのか、どういった場面でどういうことができる選手を育てるのか、何にプライオリティーをおいてスキルを獲得していくのか。彼らはそれを「プレーモデル」と呼んでいるのですが、彼らと話をしたり、実際に指導の現場や選手のプレーを見ていると、各コーチ陣、スタッフの間で、彼らが目指すプレーモデルにブレがほとんどないと感じるのです。また根本的なサッカーに対しての考え方に関しても共通したものを感じました。

僕があえて何人かの違うスタッフに同じ質問をしてみると、そろって全く同じ答えが返ってくるのです。それでは実際に、クラブとしての考え方を統一するような機会を作っているのか? と聞くと「それこそがいちばん大事だ」といっていました。ポルトではクラブ、チームとしてのコンセプトを書類としてきっちりまとめ、全スタッフで共有しているそうです。それはクラブの育成において最も大事なもので、秘密書類らしく、見せてもらうことはできませんでしたが、フットボールにおける4つの場面「攻撃」「攻撃→守備」「守備」「守備→攻撃」において、FCポルトが目指すプレー原則が書かれているそうです。

こう書くと、そのプレーモデルに沿って選手を機械的に操作するように感じられるかもしれませんが、そうではありません。年代やチーム、個人の特徴によって変化は持たせますし、その特徴はポルトでも常にリスペクトしている部分であり、プレー中は常に状況が変わるということもよく理解しています。ですから「状況判断のレベルを上げ、いかに(いつ、どこで、どのように)チームの中で自分の特徴を生かすのか」といった考え方がプレーモデル構築の根本的な部分としてあり、選手に特定のプレーを強要させるというイメージではありません。

しかし状況が常に変わるフットボールに答えがないのと同時に、普遍的なセオリーというものも存在します。ある特定の状況においてベストの判断を突き詰めていくと、そのセオリー的な部分も見えてきます。それが「フットボールを理解する」ことだと彼らはいっています。その繰り返しの中で構築していったプレーモデルをスタッフが共有し、選手に浸透させることは、口でいうほど簡単ではないことは明らかです。

コーチそれぞれが違った考え方やアプローチの仕方を持っているのは当然だとしても、「どういうプレーを目指すのか、何が良いプレーなのか」ということに対してばらつきがあっては、選手にも迷いが出て、成長のスピードも遅くなるでしょう。イメージを共有することは長いスパンで育成する上で非常に大切だと思います。

例えば一般の企業であっても、「ビジョン」というものが非常に大事だといわれていますし、どの企業も「経営理念」というものを掲げていますが、それが形だけでなく、どのレベルまで共有され、浸透して、習慣となっているか。ポルトのビジョン=プレーモデルは、明確化→共有→習慣化が、現場での行動レベルで確実にできていると感じました。

ポルトで感じていることは僕にとっても非常に刺激的です。次回はもう少し掘り下げて「何を基準にプレーモデルを構築するのか」といった部分を紹介したいと思います。

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