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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

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2009.3.28


「成功するサッカー選手と、そうでない選手の違いは何なのか?」「どのようにその成功する選手を生み出みだしていくのか?」こうした疑問に対してさまざまな観点からアプローチしていくことが、僕が大学で専攻しているサッカー科学部での具体的な受講内容です。

世界中からあらゆるサッカー科学者がリバプールに集まり、研究をしているわけですが、そのうちの一つの例を挙げると、優秀な選手は、より「ゲームを読む力」を持っている傾向にあるという結果が出ています。

ここでいう「ゲームを読む」とは、サッカーにおけるゲームの流れ、状況を理解し、次のプレーの予測が立てられるという予測の力でもあります。

予測ができると相手より一歩早く次のプレーの準備ができ、主導権を握ることができる。サッカーに置いて欠かせない要素の一つです。

それでは、この予測の力はどうやって身につくのか?研究の結果から「予測力のある選手は、よりプレーに対しての記憶力が高い。」というデータがでています。

自分が関わったプレーであっても、自分が試合に出ていないゲームのプレーであっても、自分が見たプレーに対してどういった選手がどういったプレーをしたのかという記憶力を、予測力の高い選手は持っているわけです。

このインプット(記憶)を頭の中に繰り返していくことで、サッカーにおけるあらゆるパターン、傾向が無意識であっても備わっていきます。

これがゲーム中のプレー予測にもつながる、という理論です。もう気づいている方も多いと思いますが、この予測の力は「経験」が大きく左右してくるわけです。

どの分野においても「エキスパート」と呼ばれるレベルに達するには最低10年かかるといわれています。予測力の観点からも、経験が占める割合は非常に高いのです。また遺伝子レベルの研究でも選手の成否を別けるのは持って生まれた才能よりも、育った環境やその中での経験によって培われたもののほうが割合としては圧倒的に高いという結果も出ています。

それでは、能力の高いヨーロッパの選手は、その分練習量も多くて経験豊富といえるのか? 実は「練習量」ということに関してはヨーロッパ、とりわけイングランドは日本や他国と比べても少ないです。(ここでの練習量とはチームでの練習量とします。)

しかしテストをすると彼らの「予測力」は高い。理論的には矛盾してしまうようですが、それはなぜなのでしょうか。これをスペインのセビージャFCから1年間研究のために僕の大学に来ている友人が調査していて、僕もいろいろと話を聞くのですが、この予測力は自分がプレーするだけでなくゲームを見ることでも鍛えられるというデータが出ています。(まだ完全に信頼できるデータではないですが。)

イングランド人のゲームを見る量は非常に多いです。小さな子供からお年寄りまで、多くの人がプレミアリーグを見て、フットボールを語り合います。その中でサッカーを見る力が養われ一種の「経験」になっていくのではないでしょうか。

実際、映像を使った予測のトレーニングも効果があり、前述の友人も実際にセビージャで採用しようとしています。

当然ただゲームをたくさん見ていれば確実に予測力が身につくのかといえば、そうともいえませんし、その他にもさまざまな要素があります。しかし、これらの研究結果は、イングランド人のフットボールを見る文化というものが選手の能力にも少なからず影響しているということを、確かに示しているのではないでしょうか。

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