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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■フットボール。感情を揺さぶるもの

2009.3.17


「周囲の目を気にすることなく、素直な感情の吐露があり、自分の気持ちを表に出させる」
それがスポーツの、フットボールの持つ魅力であり美しさだと僕は感じています。

「見る」フットボールに関して、その魅力が最大限に感じられるのは、やはり自分が帰属意識を持つチームの勝敗、とりわけビッグゲームと呼ばれる最高の真剣勝負の場でしょう。

そのゲームの重要度、真剣度が大きくなればなるほど、見ている側の感情の吐露も自然と大きくなるものです。そういった意味でチャンピオンズリーグは特別な雰囲気を持っています。

リバプールFCのホームスタジアム、アンフィールドの雰囲気はどの試合でも熱気に包まれ素晴らしいのですが、チャンピオンズリーグになると、リーグ戦以上の緊張感、興奮に包まれます。

スタジアムだけでなく、チャンピオンズリーグ当日は町全体が朝から戦闘態勢。それもそのはず。試合前日、早い人では3日ほど前からアウェーチームのサポーターがリバプールに乗り込み、街で大騒ぎしているのです。

今回のリバプールFCvsレアル・マドリード、リバプールホームでの第2戦にはマドリードから大量のサポーターがかけつけ、リバプールの街にはスペイン語があふれ、異様な雰囲気になっていました(笑)。

実は僕もこの試合の前日までマドリードにいて、そこからロンドンを経由しリバプールに帰ってきたのですが、タイミング悪く(?)マドリードサポーターと同じ飛行機に乗り合わせてしまいました。

飛行機の中でもマドリードサポーターは大騒ぎ! 他の乗客を気にすることなくレアル・マドリードのサポーターズソングを大合唱していました(笑)。そんな彼らのすぐ近くに座っていた僕。運悪く僕が持っていたリバプールFCのバッグが彼らに見つかってしまい、「敵がいるぞー!」といった感じで(スペイン語なので正確には何をいっているかわからなかったのですが)またまた大騒ぎされてしまいました。

しかし彼らが僕に聞いてきたのは「チケット持ってないか?」。彼らのほとんどはチケットを入手していないにも関わらずリバプールに乗り込んできたのです(笑)。

本当は持っているのですが、そこで「チケット持ってるよ。」とはいえるはずがありません(笑)。まさに戦いは試合前から始まっています(笑)。おそらく彼らのほとんどはスタジアムに入れなかったでしょう。それでもわざわざマドリードからリバプールに駆けつけるのです。もちろんリバプール側も朝から多くの人がリバプールFCのユニホームを着て街に繰り出し、歌を歌い完全に臨戦態勢。

そんな、試合開始前から熱いチャンピオンズリーグですが、試合が始まればさらに大興奮。スタジアムでもパブでも、お互い理解できない言語(英語とスペイン語)でヤジの応酬。リバプールが得点を決めれば一方では大歓声、もう一方では沈黙に包まれます。

イギリス人は他のヨーロッパの国々の人と比べると比較的感情の起伏は小さいほうですが、ことフットボールに関してはほとんど異常なくらい激しくなります。

その感情が表に出るという行為が悪いほうにいってしまってはよくないですが、大抵の場合は気持ちいいものです。感情が表に出るからこそ、人もイキイキしてくるのではないでしょうか。勝利に沸き立ち、敗北に涙する光景には、素直に人の胸を打つものがあり、それは全世界共通のものです。

日本人にとってサッカーは絶対になくてはならないものではありません。しかし日本人にとってのサッカーが果たす役割は、こうした感情に訴える部分に隠されていて、特に今のような時代だからこそサッカーの持つ魅力が日本人にとって重要になってくるのではないかと、チャンピオンズリーグの1日を通して感じました。

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