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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■スカウトのポイントは「センス」

2009.3.10


前回のコラムでマンチェスター・ユナイテッドのダ・シルバ兄弟に関して書きましたが、彼らの例のようにプレミアリーグのクラブが若手選手を青田買いすることで、UEFAや世界各国が批判を受けることもしばしばあります。

確かに選手を外から連れてくることで、自国選手の成長の機会を減らす可能性もありますし、優秀な選手を取られてしまう海外の小クラブにとっても面白い話ではないでしょう。

しかし、プレミアのクラブの立場から考えると、若い選手を買うことは重要な投資であり、良い選手なら誰でも取るというような、それこそ「青田買い」をしているわけでもありません。

ポテンシャルを見抜く努力をし、コストに見合った選手を獲得する。そこには監督やクラブのベースとなる考え方やビジョンはもちろんですが、スカウティングチームが果たす役割も非常に大きいです。

イングランドのクラブではこのスカウティングは非常に重要視されています。リバプールやマンチェスターなどのビッグクラブはもちろん、トランメアのような小さいクラブでも育成部のスカウトが7人いて、地域から優秀な選手を探し出します。

イングランドの場合、基本的には16歳までは地域、広い範囲でも国内。18歳以下になると世界中から選手のリクルートを開始します。スカウトは国際大会に足を運ぶこともあれば、地域のアマチュアクラブのリーグに足を運ぶこともあります。

ではそういった場所で、スカウトたちは選手のどこを見て獲得に踏み切るのでしょうか? 僕が通っている大学でも”Talent Identification”といって、才能ある選手の発掘に関しての授業があります。技術、体力、メンタル、社会的背景など、さまざまな観点から成功を収めた選手とそうでない選手の違い、見るポイントなどを学ぶのですが、当然「この力を持っていれば成功できる」といったような明確な基準があるわけではありません。

多くの「良い選手」がいる中で、本当に必要な欲しい選手を取る。そのためにはクラブのフィロソフィーが重要で、有名どころではアヤックスのTIPS(テクニック、インテリジェンス、パーソナリティー、スピード)やTABS(テクニック、アティチュード、バランス、スピード)、SUPS(スピード、アンダースタンディング、パーソナリティー、スキル)などがあります。

しかしこれらの方針や、監督、クラブの考えは方向性を示すもので、現実的なレベルでの選手のリストアップは、スカウト個人の能力による部分が大きくなります。それでは優秀なスカウトは一体選手の何を見ているのか? 僕は個人的に、ここに非常に興味を持っていました。

以前にマンチェスター・ユナイテッドやリバプールのスカウトの方と話をさせてもらったことがありますが、彼らは共通のことを話していました。あいまいな表現になってしまいますが、一言でいえば「感覚」です。

彼らは「いくつか見るポイントはあるけど、最終的には自分の感覚や経験に頼るしかない。体力測定や体格検査などの身体的データを見ることもあるけど、それらが参考になるケースは少ない。結局は自分の感覚で選手を見ている」

さらに選手の側にとっても必要なのは「感覚」だといっていました。「センス」という言葉でいうとわかりやすいかもしれません。ボールタッチのセンス、ポジショニングのセンス、そういったものを頭で考える前に感覚として持っている選手。こういった選手を自分の感覚を頼りに判断しているわけです。

スカウティングのレポートもいくつかのポイントに分けて書いているのですが、結局は、ココとココを見る、というよりは感覚的に全体を見ているといった感じです。読者には明確なポイントを知りたいと思う方も多いでしょう。そこを伝えられず申し訳ないのですが、実績を残しているスカウトはとにかく多くの試合を自分の目で見て感覚を養い、その感覚を元にスカウティングしているそうです。そういった、理論では表せないフィーリング。それを磨いていくことも大事なのではないでしょうか。

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