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最近のサッカー中継では、選手が交代するときに選手のそれまでの走行距離が出ますが、あのデータはどこからくるか知っていますか?
どうやって計測しているんだろう? 本当に正確な距離なのか? そう思いますよね? プレミアリーグの場合、あのデータはすべて”Pro Zone”というフットボールのデータを扱う会社が作成しています。
この”Pro Zone”、イングランドのフットボール界にはなくてはならない存在なのです。現在のフットボール界ではゲーム分析も広く普及し、その技術の質も量も格段に進歩しました。
日本でもJリーグの各クラブにはたいていテクニカルスタッフやそれに準ずる役割を担うコーチが置かれています。
イングランドの場合も”Match Analyst”と呼ばれるゲーム分析やスカウティング担当のスタッフがいますが、多くのクラブはPro Zoneと契約し、映像、データ、分析結果などを得ています。
このPro Zoneの質の高さは、イングランドのフットボール界でも非常に高く評価されています。ゲーム中には、スタジアムの各個所に設置された8台の高性能ビデオカメラを駆使してあらゆる角度から選手たちの動きを撮影。同時にそこから得た映像を元にコンピューターで各選手の動きから、チームのプレー傾向まで非常に洗練されたデータを出します。
ポゼッション率や選手の走行距離などの表に出やすいデータに関しても、どの場面でどの場所で、どういったパターンでのポゼッションなのか、また各選手がどの場面でどれくらいのスピードで走ったのか、といったことや、数字の出るデータばかりでなく攻撃パターンやセットプレーのパターン、その傾向など数字に現れない部分のデータも提供されます。
そのデータは試合前や試合後の分析、また他チームのスカウティングなどにも当然用いられますが、それに加えて試合中ライブである程度の情報やあらゆる角度からの映像を入手し、ハーフタイムや試合中にスタッフが活用でき、さらに練習中のデータも取ることができます。Pro Zoneと契約しているのはクラブだけではありません。協会やリーグも契約し、選手のパフォーマンスだけでなく、レフェリーのパフォーマンス向上、ジャッジの評価などにも利用されています。レフェリーの動きやレフェリングのデータ分析などもしています。
そういった膨大なデータの中から、監督やスタッフが必要としたデータをPro Zoneが提供するのですが、Pro Zoneの素晴らしさはデータをただ提供するだけでなく、その有効な使い方の部分まできちんとサポート。さらにPro Zone自体が、データがすべてではないということを理解し、客観的なデータと主観的な考えをうまくバランスよく考慮して「実戦」に役立てる、という部分に重点を置いていることです。これが、Pro Zoneが高く評価されている最大の要因なのではないかと僕は思います。
アメリカのメジャーリーグでは、サイバーメトリクスという統計学の観点から見た客観的な分析手法を採用する球団が結果を出すようになり注目を集めていますが、フットボールはデータ分析をパフォーマンス向上に反映させるのがより難しい、複雑なスポーツです。(野球が単純にデータを反映できるスポーツだというわけではありません。)
しかし客観的なデータをきちんと使い自チーム、他チームを分析し、勝つ確率、パフォーマンスアップの確率を少しでも上げる努力は必要だと思います。そのためのディテールにこだわる徹底力と、いかに実戦に貢献するかという部分を重視したバランス感覚。これを持つPro Zoneは名前負けしていないプロフェッショナルな組織なのではないでしょうか。こうした表にあまり出ない会社や組織もフットボール界の発展に大きく貢献しているのです。 |