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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■リザーブチームが面白い!

2009.2.11


前回のコラムで、リバプールのアカデミーではコンセプトに沿って段階を追って育成しているということを書きましたが、その育成の最終段階であり、トップに上がれるかどうかの勝負になるのがリザーブチームです。

リザーブチームの選手もプロ契約となりますが、ここからトップチームに登録されて初めて「トップ昇格」となるのです。エバートンで16歳のときにトップデビューしたルーニーのようなほんの一部の選手を除いて、ほぼ100パーセントのイングランド人選手、または10代でイングランドに渡った外国人選手は、このリザーブチームを経てトップ昇格を目指します。

最近このリザーブチームから昇格した選手を挙げると、マンチェスター・ユナイテッドのラファエル、ファビオのダ・シルバ兄弟や、リバプール期待のアタッカー、エル・ザールなど、若く才能を持った選手が次々にデビューしています。

このリザーブチーム同士が戦うリーグ戦、リザーブリーグが本当に面白いんです! 最近はプレミアリーグの試合よりも、このリザーブリーグの試合によく足を運んでいます。

トップの一歩手前、しかもリバプールやマンチェスター・Uなどビッグクラブには、世界中から将来トップクラスになるであろう選手が集まっています。なので個人のレベルも非常に高いのですが、それ以上にどんどんリスクを冒して攻めるスタイルで、ゲームスピードも非常に速く、さらに選手一人一人の「トップに上がるんだ!」という気持ちが伝わるような激しさを持ったプレー。これらはトップの試合ではあまり見ることができません。

一人一人が自分をアピールしたい気持ちを持っていても、決してチームを無視してエゴイスティックなプレーに走るわけではなく、このレベルになるとチームの中でいかに自分を生かすかという部分に全力を尽くしているので、チームとしても非常によく機能しています。

それぞれのリザーブチームはトップのスタジアムとは別に、小さなスタジアム(大体は5部や6部のクラブと兼用)を持っていて、観客も数百人集まります。ちなみにチケット代は5ポンド(約700円)ほど。この試合を観戦できて5ポンドは安すぎます!

このリザーブリーグはプレミアリーグに所属するクラブを北と南に分け、年間を通してリーグ戦が組まれています。試合数はトップチームと比べると少ないですが、それでもカップ戦も含めると年間35試合ほど公式戦として戦います。公式戦といっても、ほとんどの選手が17歳から22歳で、先ほど書いたように育成の最終段階です。昇格、降格などもなく、優勝にこだわるチームはまずありません。監督の選手起用、さい配にしても、その試合に勝つために、といったことはほとんどありません。

日本から来た指導者がいちばん下のカテゴリーからトップまですべてを見た中でいっていたのは、カテゴリーが上がるにつれて日本と差が出るということです。12歳あたりまでは日本のほうが上。16歳あたりまでは同じくらい。18歳で少し差が出て、このリザーブチームで決定的な差ができる。そんなことを聞きました。イングランドの場合は16歳以降になると世界中から優秀な選手をリクルートしてくるので、そこから差が出てくるのはある程度仕方ないのかもしれませんが、その差はリクルーティングだけではないようにも感じます。

イングランドのクラブでトップ契約するための道のりには、大きく4つの壁があります。まずはクラブのアカデミーに入る最初の壁。入ってからは毎年放出か残留かに振り分けられますが、2つ目の壁が16歳になったときのフルタイム奨学生として契約できるかどうか。そして次がリザーブチームに昇格しプロ契約ができるかどうか。そして最後がリザーブチームからトップ登録できるかどうかという壁です。

育成年代から常に目の前に越えなければいけない壁があることで、いい意味での危機感が生まれ、洗練された選手のみが生き残っていきます。さらに適切に段階設定され、18歳以降の最終段階としてリザーブチームがある。この環境が選手を自然と育てているのかなと僕は思います。

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