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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■コンセプトの統一

2009.2.4


親しくさせてもらっている日本の指導者が、先週からリバプールに来てくださり、リバプールFCを中心にさまざまな場所でフットボールを見て回ったり、スタッフと話をしてきました。

リバプールFCは普段からよく見ているのですが、今回は短い期間で下はプレアカデミー(5歳~8歳)、上はトップチームまですべてのカテゴリーを見ることができました。

こうして改めてすべてのカテゴリーを見る中で新しく気づくことも多くあったのですが、そのうちの1つが「カテゴリーごとに段階を踏み、方向性、コンセプトを持ち、長期的な視点で育成している。」という点です。

こういったような話はスタッフからも聞いていたのですが、実際に短期間に全カテゴリーのトレーニングや試合を見ると、その部分を改めて感じることができました。

例えば12歳ではこれを、15歳ではこれを、といった目的が徐々にステップアップしている、さらにそのステップにずれがない。これがトレーニング、ゲームにはっきり反映していました。

例えばリバプールFCでは、まずメンタル面、技術面の要求を13歳あたりまでに徹底的に行います。これには反復練習も含まれます。そしてその技術がゲームの中で使えるようになってから、グループでの動き、チームでの動きを段階を踏んで学んでいきます。

もう少し具体的な例を出すと、まずはパス&ムーブを徹底させ、習慣化させる。その後にそのムーブの質を高める。スピードを上げるのです。その要求レベルに無理がなく、まずはこれを徹底しよう。という目標設定がきちんとされているのです。その設定が最終的な目標を見据えて逆算する中で行われていました。

もっとリバプールのコンセプトを知りたいと思う方もいるかもしれませんが、これはあくまで一つの例で、細かく見ていけば他にもさまざまな面でカテゴリーに沿った目的がありますし、今日いいたいのはその内容ではありません。

考え方やコンセプトの部分に関してはクラブや指導者によって異なるものですし、良いも悪いもないと思います。僕もリバプールを見ていて、そこはどうなのかな? と思うこともあります。つまり考え方の違いです。

しかしそこでクラブ内の意思統一を図り、一つの方向に向かっていくことは何よりも重要なのではないでしょうか。

これは選手育成において当然のことなのかもしれませんが、全カテゴリーのスタッフの意思統一を図り、そのコンセプトを実践するのは非常に難しいことだと思います。

そしてリバプールでは、このコンセプトの部分を最重要視しているため、リーグ戦の勝敗は度外視しています。もちろん選手は勝利に向かって全力を尽くしますし、指導者も試合中はそれを促します。

しかし、試合中は「その試合」に勝つためのゲーム采配(さいはい)、トレーニングは決してしません。例えば先日見たリザーブリーグの試合、17歳で非常に期待されている選手がいるのですが、最初はいい動きを見せていたものの終盤になると明らかに疲労が見え、動きの量、質ともに落ちていました。トップの試合であれば、その選手を交代させ、前線を活性化させたほうがベターなのですが、あえてその選手を最後まで使い切りました。それはその選手がトップに上がることを考えたときに必要な経験だという判断だった、と、あとで話を聞きました。

フットボールにはさまざまな考え方、感じ方があると思いますし、それは自由で、だからこそ面白いスポーツだと思います。しかしクラブとして選手を育てることを考えたときには、すべてのカテゴリーで方向性を統一すること、そしてその徹底力といったものが大事なのかなと改めて考えさせられました。

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