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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■イングランド育成には公式戦がない!?

2008.3.25

今回はイングランドの育成組織について話したいと思います。イングランドのプロクラブの下部組織は、アカデミーとセンター・オブ・エクセレンスという2タイプに分類されます。

これは主にクラブの経営規模に基づいて分けられており、プレミアリーグのクラブのように豊富な資金を持ち、FA(イングランドサッカー協会)の設ける経営基準を満たした育成組織はアカデミーとして認められ、その下のレベルの基準を満たした組織はセンター・オブ・エクセレンスとして認可されます。

基本的には9歳から18歳まで1歳区切りでチームが作られます。いずれの育成組織も年間を通してホーム&アウエーのリーグ戦があるのですが、アカデミーはアカデミー同士、センター・オブ・エクセレンスはセンター・オブ・エクセレンス同士のみの対戦となります。

イングランドの育成のユニークなポイントは、それらのリーグ戦がいわゆる公式戦という位置付けではないことです。正式な優勝もなければ、昇格や降格もありません。これはFAの育成方針のもと、目先の勝利ではなく“Long Term Players Development”、つまり長いスパンで選手を育成していこうというコンセプトを形にしたリーグ戦です。

このシステムには賛否両論あると思いますが、選手が失敗を恐れずトライしていきやすいという環境ではあるでしょう。それに優勝や昇格、降格がないからといって選手に勝ちたい気持ちがなくなるなんてことは決してありません。イングランド人は本当に負けず嫌いですし、どんなときにも100パーセントの力を出そうとします。僕もトランメアの選手たちからは、16歳という年齢にも関わらず、そのプロ意識の高さに驚かされます。

“Long Term Players Development”の形はリーグ戦のシステム以外にも多くのケースで見られます。指導者もリーグ戦でいかに勝つのかではなく、リーグ戦を通していかに選手を成長させるのかという考えがベースにあるので、戦術的なことももちろん話しますが、個人に焦点を当てた指導も多いです。トップチームに1人でも多くの選手を送り込むことが最大の目的なのです。

審判にしても基本的に主審のみで、副審はいません。そしていいプレーを引き出すようなジャッジングで、なるべくゲームの流れを止めないレフェリングを心掛けています。審判に対してのクレームも他の国と比べたら少ないという印象を受けます。

トランメア・ローバーズの下部組織はセンター・オブ・エクセレンスにあたるので、残念ながらリバプールFCやエバートンとの対戦はありませんが、それでもその環境は決して悪くはありません。

キレイに整備された天然芝のピッチが5面、室内練習場、トレーニングルーム、ミーティングルームといった施設を所有し、コーチは各カテゴリーで2人ずつ。他に下部組織全体のゴールキーパーコーチ、フィジオセラピスト、スカウトが7人という体制で下部組織を形成しています。

3部のクラブの下部組織でも、これほどの環境が整っているのがフットボールの母国です。幸せな環境ですね。僕も練習で選手に交ざってプレーすることがあるのですが、やっぱりキレイな芝の上でプレーするのは気持ちいいものです。日本にもこれだけの環境があれば……とは思いますが、こればっかりは長い時間をかけて築いていくしかないですね。

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