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深澤 佑介
イングランド

新・イングランド通信 ~No Football No Life~

深澤 佑介
1986年8月1日生まれ。静岡県出身。
高校まではとにかくサッカーに明け暮れ、卒業後、指導者の道を志し2006年に渡英。1年間アマチュアクラブでプレー後、2007年にリバプールに移り、リバプール・ジョン・ムーアズ大学のサッカー科学部に進学。同時にイングランド・ディビジョン1(プロ3部)のトランメア・ローバーズにて育成部のアシスタントコーチに就任。リバプールFCの下部組織でも研修を受ける。サッカーの母国にて日々悪戦苦闘中。
FAレベル1コーチングライセンス取得。

イングランド

■選手は買うもの? それとも育てるもの?

2008.5.8

チャンピオンズリーグ準決勝、残念ながらリバプールFCは負けてしまいました。

決勝に進んだのはマンチェスター・ユナイテッドとチェルシー。ご存知の通り、共にプレミアリーグ所属のクラブです。ベスト4のうち3つがプレミアのクラブ、そしてベスト8の中にも4つのプレミアのクラブが残りました。

近年の活躍により、「世界最強リーグはプレミアだ!」という声もあります。ここ数年のプレミアリーグのクラブは、海外で莫大な経済力を持つオーナーたちの参入によってもたらされた豊富な資金があり、その資金を元に優秀な選手を世界中から集めています。

自国出身の選手がこれほどまで少ないリーグは、他にないのではないでしょうか。また、それは選手だけでなく監督にも当てはまることです。今やイングランド人の監督は少数派です。

優秀な選手や監督を、大金を使って獲得し、クラブを強化する。そのチームが強くなればファンもクラブも満足でしょう。しかし、それがすべてなのでしょうか?

こういった、「優秀な選手を獲得する」という強化方法は、何もトップカテゴリーのスター選手だけに当てはまるわけではありません。

近年のイングランドでは、下部組織のリクルートも積極的に行われています。特にビッグクラブでは、スカウティングネットワークを世界中に広げ、10代の若い時期から才能ある選手を獲得しています。

アーセナルの場合はアフリカに独自のアカデミーを持っていて、そこから優秀な選手をピックアップしてイングランドへ連れてきています。

移籍金のかからない、もしくは少ない若いうちに、優秀な選手を獲得しスター選手に育てる、または獲得したときの何倍もの移籍金で売る。いわば先行投資のビジネスです。

それがプロのサッカーであり、いい悪いとはいいませんが、結果としては選手を育成するはずの下部組織においても、イングランド人の割合はどんどん少なくなり「育成」よりも「発掘」に力が注がれているのが現状です。どちらも重要な要素ではありますが、少しずつ育成組織の本質からずれていっているような気もします。

決してイングランドの育成が悪いというわけではないですが、外から優秀な選手を次から次へと連れてくれば、必然的に地元出身選手のチャンスは少なくなります。

実際にトランメアの下部組織にも、リバプールFCで放出された選手が加入するケースがよくあります。

FA(イングランドフットボール協会)はこの傾向を危惧(きぐ)し、トップチームに地元育ちの下部組織出身者を入れるというレギュレーションを検討するなど、対策も考えていますが、協会よりもリーグやクラブが力を持っているため、なかなかうまくはいっていないのが現状です。

フットボールがこれからも多くの人に愛されるスポーツであり続けるためには、やはり「育成」の部分は欠かせないものです。

ただ、これだけ世界中から選手を集められる資金力を持ったイングランドの場合は、ただ単にイングランドフットボールの発展以上の役割もあるでしょう。アフリカなどの地域と比べると、その環境には大きな違いがあるわけで、そこで育つポテンシャルを秘めた選手に環境を提供することは、世界全体でのサッカーの発展を考えたときに、非常に重要な役割を担っていると思います。

そう考えると現在の傾向はプラスにもマイナスにもとらえられますが、個人的な理想としては、母国の選手の育成は母国で、というのが基本的なスタンスとしてあったらいいのではないかと思っていますが……。

 

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