|
毎年恒例の禁酒月間、通称「ラマダン」が始まった。ホルヘは毎晩飲んだくれているので、さすがに健康のことが気になり、15年ほど前から1カ月だけ酒を抜くようにしたのだ。ラマダン前に健康診断を受けるが、その結果は中性脂肪や肝機能の数値が相当高い。しかしラマダン後の再検査ではそれが平常値に戻る、というのがこれまでのパターンだった。しかし昨年、初めて肝機能のガンマGTPが正常値まで戻らなかった。ガンマGTPの正常値は70以下。ラマダン前の数値は205と正常値上限のおよそ3倍だが、ホルヘにすれば驚くものではない。過去には400近くまでいったことがある。そしていつも70未満に下がったのだが、昨年は77までしか回復しなかった。
しかしこの結果を見た担当医は、「素晴らしい、見事に下がっている。まったく問題ない」と太鼓判を押したのだ。「かなり下がったけど、まだダメだね。もう少し禁酒しなさい」といわれると思ったので、意外だった。そういえば、以前ガンマGTPが800にもなった知り合いがいた。彼は医者から「即、入院」といわれたが、それを拒否し毎日通院して点滴治療を受けた。もちろん酒も飲まない。そして3カ月後、数値が190台に下がると、医者は、「もう、お酒飲んでもいいですよ」といったという。どうやら、800までいった人は、200を切れば回復したと見なされるようだ。
これは、プロサッカー選手の捻挫(ねんざ)と同じことなのだろう。プロともなれば、職業病のようなもので捻挫が慢性化している選手が多い。俊輔だって、捻挫をして1~2試合休んだ後、「まだ痛みはある」とかいいながら元気に復帰する。足首の靭帯(じんたい)はまだ伸びているはずで、一般人だったら、「まだ激しい運動はしないように」と医者からいわれる状態だ。しかし、長年に渡り捻挫を繰り返してきたプロは、もはや一般人並に完治しない。ある程度まで回復すれば、医者もゴーサインを出す。ということは、1カ月の禁酒で正常値に回復していたホルヘは、アマチュアだったのだ。偉そうなことをいいながら、アマチュアの飲ん兵衛にすぎなかった。それが昨年回復しなかったことで、ようやく医者からもプロと認められたのだが、今回のラマダン前の検査では、ガンマGTPが165しかなかった。飲み足りなかったのだろうか。とてもプロの数値ではない。1年でアマチュアに陥落してしまった。
いつからラマダンを始めるか。毎年それで悩む。12月に帰国し、年末年始は忘年会と新年会で忙しい。久々の日本なので、個人的な飲み会も多い。しかしそれをどこかで切らないと、いつまでたっても禁酒できない。そこで今年は、ストライカーDXの新年会を区切りにすることにした。そうした殊勝な思いが天に通じたのか、新年会の余興で行われた抽選会で、なでしこジャパンのユニホームが当たった。知らなかったのだが、女子代表のユニホームはピンクが入っていて、男子のものとは違う。男女のデザインを変えるのはグッドアイデアではあるが、ホルヘがこれを着たら、オカマと思われるのではないか。しかしアルゼンチンなら、これが女子用とは誰も知るまい。あちらへ持っていって、ミニサッカーのときに着ることにしよう。
ミニサッカーといえば、先日初めてFリーグを見に行った。恥ずかしながら、Fリーグに関する知識はほとんどない。試合は東京府中アスレティクvsステラミーゴいわて花巻。最下位争いの直接対決だという。試合は、先制された府中アスレが終了間際に追いつくという面白いものだった。それとは別に気になったのは、府中アスレのユニホームの色。茶色なのだ。スポーツ界で、茶色のユニホームというのは少ない。やはり、映えないからだろう。それをあえて選んだのはなぜか。どうでもいいことだが、気になる。そこでクラブのサイトをのぞいてみたら、イメージカラーは「府中」→「東京競馬場」→「馬」→「茶色」ということで決まったのだそうだ。なるほど、馬だから茶色か。アルゼンチンにも、ユニホームが茶色のプラテンセ(現在2部)というクラブがある。なぜ茶色を選んだのかは知らないが、愛称は「カラマレス」(イカ)。獲れたてのイカは茶色だから、こう呼ばれている。
府中アスレでもうひとつ面白かったのは、くらやみ祭りで名高い大国魂神社がスポンサーになっていること。東京競馬場ほど全国区ではないが、この神社も府中の名所だ。しかし、宗教法人がスポーツクラブのスポンサーになるというのは珍しい。いったい、どのような支援をしているのか。選手、スタッフ全員のお守りと、必勝祈願を無料で面倒みる程度なのか。それとも、参拝客からの賽銭(さいせん)やお布施で資金援助もしているのだろうか。憲法に蹴教分離の原則などは書かれていないからどんな支援をしても構わないが、これでチームが最下位に沈むと、「大国魂神社はご利益がない」ということになってしまう。スポンサーの顔に泥を塗らないよう、アスレのみなさんにはがんばってもらいたいものだ。 |