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鈴木 達朗
ドイツ

ドイツ通信
~Probieren wir mal!~
(とりあえず、一緒にやってみよう!)

鈴木 達朗
宮城県出身。中学生からサッカーを始め、大学1年まで競技を続ける。サッカークラブも無い町で、一人でストライカーなどの雑誌を読んでは友人に薦め、「サッカーマニア」と呼ばれる少年時代を過ごす。中学では、クラブチームに所属。小学校で全国大会に出た選手たちを目の当たりにして、早々に挫折。頭を切り替えて、選手時代からコーチの目線で過ごす。学者になるつもりで渡った先のベルリンで、たまたま試合に誘われたクラブから、コーチになることを頼まれて、指導者になる。二足のわらじで大学も卒業し、現在に至る。タイトルは練習中に発する自分の口癖から取ったもの。
Webサイト:http://www.tatsurosuzuki.com/

ドイツ

■サッカーのABC(前編)-テクニックと巧みなボールさばきの違い

2014.1.8

皆さん、こんにちは。明けましておめでとうございます、ドイツ語では「フローエス・ノイエス・ヤー(Frohes neues Jahr)!」といいます。「!」が付いているので、使うときは元気にいってくださいね、恥ずかしがってはダメです。というのは、まあ、冗談ですが、観察していると、こういうのを自分のほうからいえるかで、外国でも早く溶け込めるかそうでないか、というのは、だいたい分かるような気がします。

前回はドイツサッカーの冬の風物詩について話しましたが、今回は年の始まりということで、初心に戻って、「そもそもテクニックの定義って、なに?」という話をしようと思います。

僕がこの問いを立てるきっかけになったのは、キムさんという、バイエルン・ミュンヘンの育成機関で活躍しているマレーシア人指導者のインタビューを新聞で読んだからです。キムさんは、今のドイツ代表であるトマス・ミュラーやホルガー・バドシュトゥーバー、バイエルンのトップチームでプレーするディエゴ・コンテントなどの世代を育てた方です。彼がインタビューのなかで、サッカーのABCについて、「Aはテクニック(Technik)、Bは戦術(Takitik)、Cは巧みなボールさばき(Ballgeschicklichkeit)」ということをいっていて、「AとCはどう違うのだろう?」というのが僕の疑問でした。皆さんはテクニック、あるいは「技術」と「巧みなボールさばき」の違いを説明できますか? 僕には、はっきりとはできなかったので、調べることにしました。それでは、一緒に見ていきましょう。

img_01
(写真はアリアンツ・アレーナ、バイエルンの試合前の様子。筆者撮影)

ドイツ語のウィキペディアを見ると、「技術(テヒニーク、Technik)」とは、
1.目的に応じて人間が作ったもの全般(機械や道具など)
2.ある一貫性を持ったシステム構造が導き出される人間の所作全般
3.その一貫性を持ったシステム構造が適用される、人間の所作全般
ということになっています。皆さん、分かりますか? 僕にはさっぱり分かりません。

簡単にいえば、僕らがサッカーという競技を知らずに、あるスポーツを外から見ていて、ああ、このスポーツは「手でボールを扱ってはいけない。ボールを相手のゴールに入れると得点である」というルール(一貫性をもったシステム構造)なんだな、ということが帰納的に分かる、ということです。

うーん、まだ分かりにくいですね…。ここで、僕にとって、いちばん印象に残っている言葉を紹介しますね。僕の父や皆さんのおじいさんぐらいの世代に、ドイツのブンデスリーガでプレーした日本人選手がいます。奥寺康彦さんといって、ドイツで通算259試合(1部234試合、2部25試合)に出場しています。今は横浜FCの運営に関わっている人です。その奥寺さんが「サッカーっていうのは、足でしっかり蹴る、止める、運ぶができれば楽しめるスポーツ」といっています。そうなんですね、サッカーの技術というのは、「ボールを足で蹴る、止める、運ぶ」ことです。シンプルでいいですね。つまり、基本動作です。

ここで奥寺さんがいっているのは、このサッカーの基本動作がしっかりしていれば、サッカーという対戦相手のいる戦略的なゲームを満喫することができる、ということです。(ここで、戦略という言葉を使いましたが、戦術と戦略の違いについては、次回書きましょう)。逆にいえば、基礎ができていなければ、プレー・アビリティなど見せようがない、そういうことですね。

では、もう一方の、巧みなボールさばき(バル・ゲシックリヒカイト、Ballgeschicklichkeit)というのはなんでしょうか。わざわざドイツ語を書いたのには理由があります。このバルというのはボールのことで、ゲシックリヒカイトとは「巧みな…さばき」となります。車だと、「巧みなハンドルさばき」、テレビゲームだと、「巧みなコントローラーさばき」とかいいますが、そういうことです。一般的には「センスが良い」などともいいますが、漠然としてしまうので、まあ、「適切にボールを扱う感覚」というのが、いちばんしっくりくるのかな、という気がします。

さて、ここでもう一度キムさんの「サッカーのABC」に戻ってみましょう。ここで、今まで見てきた言葉に置き換えてみましょう。「Aはサッカーの基本動作、Bは戦術、Cはボールを適切に扱う感覚」といい換えてみると、だいぶスッキリするのではないでしょうか。Bの戦術には、次回に触れますが、このAとCだけを見ても、先に挙げたバイエルンの3人の特徴にぴったりですね。

僕がバイエルンの育成機関から上がってきた選手を見ていて感じるのは、このABCのレベルの高さです。例えば、トマス・ミュラーはリベリーやロッベンのように派手なことをするタイプではありませんが、総じてミスが少なく(基本技術、A)、目的を達成するのに適切なボール扱いができる(ボールを扱う感覚、C)という点では、やはり世界でトップレベルのアタッカーだと思います。

さて、このAとCの間にあるもの、それはBですね。次回は、このB、戦術についてお話ししましょう。

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