|
新年あけましておめでとうございます。2012年もなにとぞよろしくお願いいたします。
今年最初のコラムは「セットプレー」について。ベンフィカの育成年代での取り組みについてご紹介したいと思います。
試合前のロッカールームで、選手たちは張り出された紙を見てあることを確認しています。
実はこれには、その日のセットプレーの動きについて書かれているのです。
誰がどこへ動き、誰がそのポジションに属するかを書いた紙です。
上の写真の戦術は以下のようなことです。
右からのコーナーキック、キッカーはHelder、ゴール前中央のスペースにP.Diasが入り、Cafu、Valdo、F.Leiteのヘディングの強い3人のうち、1人はそのままニア、1人はぐるっと回ってファー、1人はいちばん遠いところから中央のスペースに入るという約束事です。
ただこの3人の役割分担はその場で話し合って決めていいことになっています。そしてセカンドボールに備えて、右側にR.Silva、左側にDiego、後ろにはD.Martins、J.Santos、P.Almeidaの3人が配置することになっています。
これはあくまで一例ですが、この他にコーナーキック、フリーキックでの攻撃時、守備時それぞれの配置、ロングスロー時の配置(攻撃・守備)が張り出されています。
これを選手たちはしっかりとチームの共通認識として頭にたたき込んで試合に臨みます。
そしてこれは毎週リーグ戦のたびに張り出され、それぞれの試合によって動き方は変わります。毎回それらを覚える選手たちは大変なのでは? と思いがちですが、選手たちは結構楽しみながらこれを見て覚えて、いやこれはこうだろうとか、いろいろといいながらしっかり覚えているようです。
指導者に狙いを聞くと、毎週これをやることによって選手同士で考えるキッカケが作れる、といっていました。
そして年間のリーグ戦は約30試合、その年間を通じてこれをやり続けるといいます。
つまり30種類の動きを選手たちの頭の引き出しに残すことができるということでもあるのです。確かに例えば9歳からベンフィカに入ったとして、18歳までの10年間これをやっていれば30種類×10年間=300種類ものセットプレーの動きを覚えることになるので、いざというときの武器になることは容易に想像できます。
もちろんこれを日本でそのままマネてやればいいというわけではないと思います。
以前「2対1フリーズ」のコラムで書いたように、ポルトガルの選手は、指導者の話はあくまで一つの意見としか考えていない傾向があるので、このセットプレーでも指示された戦術だけに縛られずに、他の引き出しを使って解決法を探ることをよくします。
なぜか、セットプレー(CK・FK)での得点よりも、流れの中での得点が素晴らしいと、とらえられることが多いですが、1点の価値は同じです。
全得点中のセットプレーでの割合は40パーセントともいわれています。特に日本人は止まったボールのキックの技術に優れている選手(本田圭佑選手・遠藤保仁選手など)が多い傾向にあるわけですから、さらにその割合は上がるのではないかなと私自身は考えています。 |