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宇治 誠
イングランド

イングランド通信
~イングランドサッカーの育成状況とEPPP~
(現状と変化と今後)

宇治 誠
1984年12月13日生まれ。大阪府出身。
富山大学教育学部生涯スポーツ科卒業後、2008年に渡英。Liverpool John Moores UniversityにてScience & Footballを学び、現在同大学でスポーツ科学の博士課程を専攻している。コーチとしてLeague Two(イングランド4部リーグ)のTranmere FCアカデミーコーチとユースチームのマッチアナリストとして働き、同時にLiverpool FCサッカースクールコーチもこなしている。UEFA Bコーチングライセンス所持。

イングランド

■育成を監察する制度

2015.07.09

皆さん、こんにちは。

カナダで行われている女子ワールドカップで日本代表と同様に、イングランド代表が結果を残すことができました。この快挙によってイングランド国内では女子サッカーの注目を集めるいい機会になったと思います。男子サッカーとともに(男子サッカーのほうは比較的未だに批判を受けていますが)、FAが行ってきた長期的な改革が少しずつ形となって実ってきたのかもしれません。長期的な視野を持って、継続していくことの必要性を考えさせられました。また、改革を長期的に行うために、改革の段階過程をどのように監察するのか、どのように評価していくのかも大事なのではないでしょうか。FAが施行している改革の一つであるEPPPが今後どのように発展していくのかを見ていくことで日本サッカーの今後の発展に役立つヒントがあるのかもしれません。

では、今回はどのようにアカデミーのクラス分け(カテゴリー分け)が行われたのか。またそのカテゴリーの質を維持・向上させるために、FAがどのような制度で長期的に監察し、コントロールしていくのかを話していこうと思います。このプロセスをAudit(査定)と呼び、大まかに3つ(Self Assessment、Annual Evaluation、Biennial Evaluation)に分かれます。Self Assessmentでは、クラブが自分たちのアカデミーの質を自己判定します。Annual Evaluationとは、リーグ(プレミアリーグもしくはフットボールリーグ)からの役員が毎年アカデミーを監察し、査定します。Biennial Evaluationとは、リーグ団体から独立した監察機関であるIndependent Standards Organisation(ISO)によって2年ごと(最長でも3年ごと)にクラブを査定することです。

今回はSelf Assessmentに着目して話していこうと思います。Self AssessmentはEPPPで決められた10項目に対してオンライン上でクラブがどのように計画し、実施しているのかを必要な情報と証拠を基に提示しなければなりません。私たちTranmereがこのAuditを行った2年前の段階では、DoublePASS社のFootPassサービスを用いて、オンライン上で10項目を記入していきました。その10項目は図1を参照してください。ユースチームのマッチアナリスト(戦術分析家)として、第6項のスポーツ科学のサポートと第7項の選手の成長の客観的な評価の項目で、私の仕事について記入しました。特に、どのように行うのか? どのソフトウェアを用いるのか? いつ、どこで、どのような形でフィードバックを行うのか? 選手の評価基準に客観性があるのかなどについて、自分たちが行うことができる現実的な返答を求められました。金銭的な面やスタッフ数の面などを考慮して、自分たちが可能なことを再確認し、自分たちの現在位置を把握することに役立ちました。また、現在位置を理解することで、今後どのように向上させていくのかを考える機会にもなりました。

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図1.Audit Tool:オンライン上でこの10項目について必要な情報と証拠を用いて、クラブがどのようにEPPPで要求されていることを満たすかを示す必要がある

自分の現在位置ということで、アカデミーコーチも行っているので、コーチとしての質の向上も考えていく必要があります。アカデミーで働く指導者の質の維持と確保のために、現段階どのアカデミーでもUEFA Bライセンス以上の資格をどの年代のチームのコーチにも求めています。加えて、FAが既存のコーチライセンス以外に施行した育成年代向けのライセンスを要求するクラブも多くなってきました。最近、そのライセンスを取ってきました。このライセンスの内容に関して、またの機会に説明させてもらいます。この育成に特化したライセンスはFA Youth Awardと呼ばれ、3つのライセンス(Level 1から3まで)を取った後の実技テストによってこの資格を授与できます。アカデミーのコーチとして、自分のできることを少しずつ増やし、コーチとしてもアカデミーの質の向上に貢献していきたいと思います。図2に現在のFAのコーチングコースの概要を載せましたので、参照にしてください。

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図2.FAコーチングコースの概要
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図3.FA Youth Awardのライセンス
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