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倉本 和昌
スペイン

スペイン通信 ~Entrenador KAZU~

倉本 和昌
1982年5月19日生まれ。広島県出身。中学生時代に選手としての限界に気づき、指導者になろうと決意する。高校卒業後、アルバイト期間を経てバルセロナへ。
2006-2007シーズンより、バスク人のみで構成されるアスレティック・ビルバオの育成部コーチに。さらに地元のチーム(U-12)で監督を務めている。スペイン公認コーチングライセンス中級取得。08-09シーズンは、スペインリーグ2部B、バラカルドのスカウト兼ビデオ係およびサントゥチュ13歳チームの監督を務めている。「Entrenador」は指導者の意。

スペイン

■もしかしてこれなの……?

2009.1.29


ここ1カ月ぐらい「Chispa(チスパ)」(詳しくは前回の記事を参照)が頭から離れません。

それを悩むのはまるで「闘争心を鍛えるには具体的にどんな方法があるのか?」を考えるのに似ているかもしれません。この闘争心はChispaも関連しています。

どのようなものかイメージは分かるけど、抽象的なものなので、具体的な向上方法が見つからないというわけです。

そういう場合、「こうじゃないか?」と思うことを試してみる、相談するなどいろいろと方法がありますね。実際に僕もやってみました。師匠であるアルベルト監督に聞いたり、アスレチック・ビルバオのコーチに聞いたり、「Chispaが足りない」と僕にいった張本人であるクラブの育成部長に聞いたり(笑)

そんな試行錯誤を続けていく中である程度見えてくるものがありました。

例えば1対1の練習、ヘディングゲーム(競り合いを誘発)、ボディーコンタクトの多い練習、または「勝ち残り」など競争心をあおる練習を試しています。

それらの練習を見ていて、選手たちの中に「相手にぶつかる」、「ぶち当たって自分が(パワーが)強い」と証明したい気持ちが強いんだということに気が付きました。

とっても盛り上がるんです。やはり彼らは本来戦闘民族なのでしょうか……? 血が騒ぐようです。

楽しいと感じているのでメニューを説明するとき、こちらの話もきちんと聞いてくれます。

そしてとても意外だったのが、シュートにつながるパターン練習。
通常(僕の考えでは)、「こうやって、こうやって、次にこうやって」と行うことがあらかじめ決められている、役割が決まっている練習は飽きやすいですし、選手たちにとって「面白い練習」ではないと考えていたのです。

自分で考える(判断を下す)選手を育成するためには、僕は極力行いたくない練習だったわけです。

ところが、なぜか選手たちは、複数の選手の関わり合いからシュートまでいくパターン練習がとっても好きなよう。

特にサイドチェンジなどで「ドーン!」と力強いボールを蹴るのを楽しそうにやっていました。育成部長からは「もう少しロングボールを蹴る練習を入れたらいいんじゃないか? プレーしている範囲が狭過ぎる」といわれ、早速取り入れた結果でした。

シュート練習と結びつけたことがよかったのかもしれません。ゴールを決めるのはやっぱり誰でも楽しいですものね。

ゴールを決めるか決めないか、それがサッカーの原点であるわけですし。

これまではもっとボールを回すことに重点を置いており、「シュートを打つ」というとても大切な練習がおろそかになっていたのです。

「もしかして僕(チーム)に足りなかったのはこれだったのか……?」と考え始めました。

自分が好きではない練習を取り入れてみる。それで成功している、選手たちが楽しく、うまくなることができる、のであれば、そっちが正解です。

いちばんは僕がやりたい練習を選手がやってくれることではなくて、選手たちが伸び伸びと楽しく練習をし、チームとして強くなることなのですから。

更に不思議だったのは、パターン練習をしているので、自ら考えることを抑えているわけなのですが、練習最後のミニゲームや試合での激しさが増し、おまけに考えてプレーしているんです……(?)

練習でロングボールを蹴るようになっていますし、1対1など激しくぶつかる練習をしているのでプレーが荒くなるというか、雑になることも覚悟していました。

ところが今の所、結果は全く逆に出ており、とても驚いています。
「なんで練習していないことができるようになるんだ・・・?」と。

思うに、練習が楽しくできているので、モチベーションが上がっており、その結果最後のミニゲームでは、こちらから特に何もいわなくても「激しくいくようになっている」のかもしれません。

そしてプレッシャーが激しくなるので、それをかいくぐるために「考えなければいけない」というサイクルが生まれたのかもしれませんね。

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