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倉本 和昌
スペイン

スペイン通信 ~Entrenador KAZU~

倉本 和昌
1982年5月19日生まれ。広島県出身。中学生時代に選手としての限界に気づき、指導者になろうと決意する。高校卒業後、アルバイト期間を経てバルセロナへ。
2006-2007シーズンより、バスク人のみで構成されるアスレティック・ビルバオの育成部コーチに。さらに地元のチーム(U-12)で監督を務めている。スペイン公認コーチングライセンス中級取得。08-09シーズンは、スペインリーグ2部B、バラカルドのスカウト兼ビデオ係およびサントゥチュ13歳チームの監督を務めている。「Entrenador」は指導者の意。

スペイン

■負けたらクビ

2008.11.29


サッカーは結果がすべての世界。
もっとくだけたいい方だと、結果がモノをいう世界。

それは育成でもアマチュアでもプロでも同じ。

「すごくいいサッカーをして、内容的に相手を上回っていたけど、カウンターを食らって0-2で負けた」

試合を見ていた人と、当の本人は、「いい内容だったけど、勝てなかった。これを次に生かさなければ」と考え、それでいいわけなのですが、試合を見ていない人が新聞やインターネットで結果を見れば「なんだ! 0-2で負けたのか」で終わり。

いいサッカーをすることが勝利への近道であると僕も思います。しかし、いいサッカーをすれば勝てるのかというとそうとは限らない。
サッカーはなんとも理不尽なスポーツというか……。

ただ、だからこそ面白いですし、本当に細部の細部までこだわり、徹底することが必要になってきます。

僕はこれまで、「これ以上負けたらクビになるかもしれない……」という危機に陥ったことが何度かあります。育成とはいえ結果をある程度出さないといけませんし、クラブからもプレッシャーをかけられます。

これこそリーグ戦の醍醐味だと思うのですが、「勝ちながら(勝利にこだわりながら)育てる」という、まさに矛盾した2つの事柄を同時にやらなければいけないのです。
だからこそ監督も鍛えられるんだと思います。

勝敗が決まるスポーツだからこそ、負けるときもあれば、勝つときもある。
勝ちに等しい引き分けもあるし、負けに等しい引き分けもある。

現在コーチングスクールで戦術の講師を務めているハビエル・イルレタ監督は、「監督は3回クビになってからが本当の監督だ」といっていました。
そういう失敗経験を積み重ね、プレッシャーに耐え、結果を出せるようにひたすらがんばるしかないと。もちろんそれはプロレベルでの話なんですが。

そう考えると、僕はまだまだ勝負強さや勝敗にこだわる気持ちが薄いですね。

というよりも、果たして本当に自分で「この試合に負けたらもう次はない」とこだわって戦ってきたのか? と自問自答すると、「そうじゃない」という答えが返ってきます。

育成は育てることが最優先。楽しむことがいちばんで、勝敗は関係ないという甘い考えを持っていたことは事実。その甘さはこちらに来て痛感するようになりました。

そんな僕ですが、これまで危機に面したときも、最後に救ってくれたのは選手たちのがんばりと、それに伴う「結果」でした。

どうすれば勝負強さは身につくものなのでしょうか?

これはやはり、常に勝負にこだわってこそ、ギリギリの戦いを勝ち抜いてこそ、身につくものなのではないかと思います。さらにそれをコンスタントに年間を通してやり遂げること。

ちなみに先週、僕が監督をやらせてもらっているサントゥチュInfantil A(U-13)が同じグラウンドを使う犬猿の中であるライバルチームと試合を行いました。

実はこの試合に負けたら……なんてうわさも流れていたんです(失笑)。前回の試合であまりにも不甲斐ない試合をしたからなのですが……。
僕に対して「?」が出されていたことは事実。

特にダービーマッチは「絶対に負けてはいけない試合」の一つですし、恥ずかしい試合はできません。

結果は終了間際に同点に追いつき、1-1でなんとか引き分け。内容的には過去最悪の試合だったかもしれません。そこに、「しっかりつないで崩して……」という「自分たちのやりたいサッカー」は全くなかったわけですから。

しかし、激しく戦って負けなかったというのは大きかったです。

クラブの育成部長さんは「負けるんじゃないか?」と思っていたそうで、引き分けに持ち込んだことで「よくやった。おめでとう!」と声をかけてくれました。

もし、負けていたら……。

毎週こんな思いをしながらリーグ戦を戦っています。果たしてシーズン終了まで持つのでしょうか……?

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