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倉本 和昌
スペイン

スペイン通信 ~Entrenador KAZU~

倉本 和昌
1982年5月19日生まれ。広島県出身。中学生時代に選手としての限界に気づき、指導者になろうと決意する。高校卒業後、アルバイト期間を経てバルセロナへ。
2006-2007シーズンより、バスク人のみで構成されるアスレティック・ビルバオの育成部コーチに。さらに地元のチーム(U-12)で監督を務めている。スペイン公認コーチングライセンス中級取得。08-09シーズンは、スペインリーグ2部B、バラカルドのスカウト兼ビデオ係およびサントゥチュ13歳チームの監督を務めている。「Entrenador」は指導者の意。

スペイン

■アスリートか、サッカー選手か

2008.7.25

近年サッカーにはどんどん科学が導入され、さまざまなプレーが数値化されるようになりました。特にフィジカルの部分で果たす科学の役割は、日に日に大きくなり、フィジカルトレーニングをする際にも大きな効果を挙げています。

それにより、以前に比べてサッカー選手のフィジカル能力はどんどん上がっているわけです。

そして最近では、プロサッカー選手は「アスリートとしての強い体を作り、それからサッカーを学ぶ」というような風潮になっていることもありますし、そうなることが必至のようにいわれています。つまり能力の高い肉体がないとサッカー選手ではないというような。

極端にいえば、アスリートとして高いレベルのフィジカル能力を持つ選手になることが最優先で、その後に、プレーしたり判断や戦術部分がくるというわけです。
また、スタミナと頑張りがあれば戦術的、技術的に劣っていてもそれをカバーできるはずだと考えられていることがあります。

この考え方は確かに間違っていないかもしれません。
事実、より高いフィジカル能力があればプレーをする際に有利なのは明らかです。

しかし、僕はどうも引っかかっています。サッカーはフィジカルだけじゃないのではないかと。サッカーは進化していますが、選手の技術は年々下がっていると著名人がいっている理由もここにあるように思います。

そのフィジカル重視の傾向に反対する人たちも多くいます。

例えばグアルディオラ(現バルサ監督)の逸話ですが、彼がドリームチーム時代のバルサからイタリアに移籍し、プレーしていたときのことです。味方には、屈強な肉体を持ち、中盤で走り回り、相手の攻撃の芽を摘むことが得意な選手がいました。
その隣りでプレーしていたグアルディオラには相手の密着マークがつき、その代わり、先ほど挙げた味方選手がフリーになっていました。

普通に考えれば、フリーなその選手を使って相手を攻略することをします。事実、グアルディオラはその選手に「この状況を打開してくれ」とパスを送りました。するとボールを受けた選手はなんと、「それは俺の仕事じゃない。俺にボールを出すな」といって、再び厳しいマークを受けているグアルディオラにパスを返したそうです。後日グアルディオラは、「まるでみんなボールに触るのを恐れているようだった。サッカーはボールを使ってプレーするスポーツなのに」と回想しています。

グアルディオラといえば、細く華奢(きゃしゃ)な体つきで、決して足も速くない。しかし、そのインテリジェンスあふれるプレー、判断の早さと技術で、バルサの一時代を築いた人物です。彼はサッカーというスポーツでは、「プレーする」ということを理解する、ゲーム理解が先決であるといっています。

サッカー選手にするのが先か? それともまずはアスリートの体を作ることが先か? みなさんはどう思われますか?

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