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倉本 和昌
スペイン

スペイン通信 ~Entrenador KAZU~

倉本 和昌
1982年5月19日生まれ。広島県出身。中学生時代に選手としての限界に気づき、指導者になろうと決意する。高校卒業後、アルバイト期間を経てバルセロナへ。
2006-2007シーズンより、バスク人のみで構成されるアスレティック・ビルバオの育成部コーチに。さらに地元のチーム(U-12)で監督を務めている。スペイン公認コーチングライセンス中級取得。08-09シーズンは、スペインリーグ2部B、バラカルドのスカウト兼ビデオ係およびサントゥチュ13歳チームの監督を務めている。「Entrenador」は指導者の意。

スペイン

■ユーロ優勝がもたらした一体感

2008.7.3

正直、まさかこんな瞬間が来るとは思ってもいませんでした。こんな歴史的瞬間に自分がスペインにいられるなんて。

勝負弱い、ボールポゼッションはうまいけどシュートまで行けず、逆にカウンターを食らって負ける。クラブレベルで強いのは、質の高い外国人が多いから。地域色が強すぎて、代表チームに関心が集まらない。

上記のようにさまざまな理由から、「国際大会で優勝候補に挙げられながら勝てない」というのがスペイン代表のイメージでした。実際、結果も出せませんでした。A代表以外の育成年代の代表は、国際舞台でも数々のタイトルを取っているだけに、「なんでA代表は勝てないのか?」本当に不思議でした。

そのイメージをついにぬぐいさってくれたんです!!

ドイツとの決勝戦に、フェルナンド・トーレスのゴールで見事勝利。このゴールも、フェルナンド・トーレスの決定力と中盤の見事なパスワークから生み出されたものでした。

大会中、「ボールポゼッションをしながら、相手の穴ができるのを待つ」という自分たちのスタイルを貫き、どの試合でもボールを支配してチャンスを作り続けました。相手はボールを追いかけても追いかけても奪えないことに疲れ、足が止まる、またはボールを焦って奪おうとしてバランスが崩れる。そのすきをスペインは突き、確実にゴールを決めました。

僕はスペインに住んでいるので、どうしてもスペインをひいき目に見てしまいますし(!?)、客観的判断をすることが難しいですが、それでも僕が理想とする美しく強いサッカーを実現してくれたことが本当にうれしかったです。

また、一人のファンとして純粋に楽しんでサッカーを見ることができました。

もちろん、ヨーロッパ選手権で勝ったからといって、「このサッカーが最高でみんなこうするべきだ」というつもりはありません。しかし、これまで良いサッカーを見せながら勝てなかったスペインが勝ったというのは大きな意味があるように思います。

決して身長が高くなく、フィジカル能力がずば抜けていなくても、それに代わる武器を持てばタイトルを取ることができるのだ、ということを証明してくれましたから。パワーや空中戦の強さがなくても、卓越した技術、戦術眼、素早い判断力でボールを回し、チーム全体で戦う力があればどんな相手にも勝利を収めることができる。

美しいサッカーを展開し、かつ勝利を収める。質の高いサッカー。今後サッカーの流れがそういう傾向になってくれれば最高ですね。

それにしても今回の勝利で初めてスペインという国が本当の意味で「一つ」になったような気がしました。地域を問わず、街中を多くの人がスペイン代表のユニフォームを着て歩くなんてこれまで見たことがなかったです。それはなんと、もっとも地元意識が強いバスク地方でもそうでした。他の町と比べて数は少ないとはいえ、試合終了後は「エスパーニャ! エスパーニャ(スペイン!スペイン!)」と大合唱し、車はクラクションを鳴らしながら走っていました。信じられない光景です……。(超熱狂的阪神ファンがWBCでの日本の優勝を喜ぶような感じでしょうか?)

以前の日記(57回)では、あまりに盛り上がらないスペインの様子を書きましたが、あれから勝ち上がるほどに応援の熱は高まり、優勝を飾った瞬間に大爆発したわけです。テレビでも、「最初はここまでスペインが勝ち上がるなんて思ってもいなかった。疑ったことを反省しています」と口々にいうサポーターが映し出されていました(笑)。

今回の優勝が国民に与えた影響は、サッカーだけにとどまらず国民を心から一体化することにもつながったんじゃないかと思います。

スペイン代表おめでとう! そして感動をありがとう!

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