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フェルナンド・トーレス、セスク、シャビ、イニエスタ、セルヒオ・ラモス、さらに世界でも3本の指に入るGKといわれているカシージャス。役者はそろいました。今回のEURO2008は、本当に期待できるメンバーが集まったのではないでしょうか。
これまで毎回優勝候補に挙げられながらも、国際舞台で結果が出せなかったスペイン代表。
その歴史を覆そうと、ついに国民がそれぞれ地元意識を捨てて一致団結するときが来たのです。ベランダにはスペイン国旗が掲げられ、レアル・マドリードファンもバルサファンも、アスレチック・ビルバオのファンも肩を組み、そして「我らのスペイン代表」を応援する。スペイン中がEURO2008の熱気に包まれる――。
……なんてことは絶対ない。
本当にスペインも国を挙げて盛り上がっているのかと思った皆さん、申し訳ありません。上の話は空想であり、現実にそんな状態になるわけがありません(笑)。
スペイン代表が勝てない理由はいろいろありますが、一つには国民の代表チームに対する関心がかなり低いことが挙げられると思います。おらが町のクラブは熱心に応援するけど、代表チームには興味がない。そもそも「自分はスペイン人だ」と思っていない人もたくさん存在するような状態。これは内戦の影響もあります。内戦当時、独自の文化を持っていた地域は中央政府からその独自文化を禁止され、中央政府(マドリード)に従うように迫害を受けたのです。
その反動が少なからず影響を与えていることもあるので、一概にダメなんだとはいいきれない複雑な事情があるんですが。
僕が住んでいるビルバオは、バスク地方というこれまた独立意識の強い(自分たちをスペイン人だとは思っていない人が多い)地域です。ですから、他の地域と比べて、さらにスペイン代表に対して興味がない人が多いのです。むしろ毛嫌いしている感も。
バルセロナもそうかもしれませんが、少なくともFCバルセロナの選手は数名、代表に招集されていますから、見る人はいるでしょう。しかし、アスレチック・ビルバオからは誰も招集されていませんから、余計に誰も見ません。
先日EURO2008が開幕しましたが、まるで「自分の国は出場していない大会」かのような振る舞いです。新聞の取り扱いもそれほど大きくない。
それよりも関心があるのは、まだ終わっていないスペインリーグ2部の結果や3部、4部の昇格をかけて戦うプレーオフの情報。
また、「あの選手は戦力外通告を受けて移籍先を探しているけど、交渉が難航しているらしい」とか「あのクラブにいる選手を獲得しようとしている」など、やはりアスレチック・ビルバオのクラブの去就問題ばかり。
ちなみに僕は大会開幕直前に行われた、スペイン代表のアメリカとの親善試合を、隣町のサンタンデールまで見に行ったんです(サンタンデールはバスク地方ではありません)。
現地で同じく指導者の勉強をしている日本人の知人に、「滅多にサンタンデールで代表戦は行われないし、もしかしたら、いい席は売り切れるかもしれないから」と、余裕を持って、早めに買いに行ってもらったんです。
すると列ができていたどころか、誰も買いに来ている人はいなかったそうです。そして、試合当日のスタジアムはガラガラでした……。
試合に向かうバスに乗っていたときに、友達であるアスレチック・ビルバオの育成コーチから電話がかかってきました。大げさかもしれませんが、そのときの会話が、スペイン代表の勝てない理由を物語っているように思いました。
以下に会話を簡単に紹介します。
友達:「KAZU。今何してるんだ? 何! サンタンデールに向かってるって? 何をしに行くんだ?」
僕:「スペイン対アメリカの試合を見に行くんだよ」
友達:「ふーん。そうか。ところでいつ試合をやるんだ? 明日か?」
僕:「……。今日の22時からだよ。知らなかったの? 君みたいに代表に興味がない人がたくさんいるからスペインはいつまでたっても勝てないんだぞ(笑)」
友達:「だって俺、スペイン人じゃなくてバスク人だもん」
終了。
僕はスペイン人でもバスク人でもありませんが、ひそかにスペイン代表を応援したいと思います。でも、またやっぱりいつものように(?)期待を裏切られそうで怖いです……。 |