|
先日、マドリード郊外の町で行われた、スペインのユース年代の全国大会に行ってきました。
すでにご紹介したように、スペインは細かくカテゴリー分けされており、それぞれでリーグ戦を戦っています。よって1年間を通じて戦うリーグ戦がメインであり、全国大会の意義と注目度については、日本の高校選手権などに比べると非常に低いです。
Juvenilカテゴリー(フベニール=16~18歳、ストライカー第5回、第6回を参照)の最高峰である、Division de Honor(名誉あるリーグ)は、スペイン全土を7地区に分けて戦っています。僕がアシスタントコーチをやらせてもらっているサントゥチュJuvenil A(18歳)が5位になったのは、このカテゴリーのグループ2です。
7地区それぞれのリーグに16チームありますから、スペイン全土で112チームが所属していることになります。(毎年各リーグ4チームが降格)
今回僕が見に行ったのは、その各地区でリーグチャンピオンになった7チームが一堂に集まる大会であり、実質、スペイン最強を決める大会といえるでしょう。
参加チーム(各地区の優勝チーム)については、
デポルティーボ・ラ・コルーニャ
レアル・ソシエダ
エスパニョール
セビージャ
ラージョ・バジェカーノ
ラス・パルマス
ビジャレアル
今シーズン初めて、サントゥチュのクラブのおかげで、このカテゴリーのチームと対戦する機会がありました。レアル・ソシエダとの対戦です。
そのとき僕にとって衝撃的なチームだったレアル・ソシエダが、「全国レベルではどこまで通用するのか?」を見たかったのです。そうすることによって、バスク地区のレベルとスペイン全体のレベルを計ることができるのではないか、と思いました。
いってみれば基準作りですね。
ここでは試合内容については書きません。では、何について書くかというと「ユース年代の全国大会の意義について」、考えさせられることがあったので、それを書きたいと思います。
ユース最高峰の大会。さぞ素晴らしいチームと素晴らしい選手がそろっているのだろうとイメージしました。
しかし、この大会に出られる(出場できる年齢にある)選手を挙げてみましょう。
ボージャン(バルサ)、カマーチョ(アトレティコ・マドリード)
アキ―ノ(レアル・ムルシア)、フラン・メリダ(レアル・ソシエダ)
どの選手も、すでにトップチームで主力級の選手……。彼らの活躍の舞台は、ユース年代の全国大会ではなく、すでにスペイン1部リーグなのです。おまけに同時期にトルコで行われているU-17ヨーロッパ選手権に招集されている選手たちもこの大会には来ていません。
(U-17ヨーロッパ選手権は、スペインがフランスとの決勝に4-0で勝って見事優勝)
これはバルセロナに住む知人からも聞いた話ですが、この全国大会に同年代でずば抜けている選手は出てこないし、もうこのカテゴリーにいる必要もないということです。
17歳、18歳で素晴らしいレベルにある選手は、すでにサテライトチーム、もしくはトップチームで練習や試合をしているわけですから。
よって、まだそこに進めない、今後進んでいく可能性がある優秀な選手が集まった大会ということで、真の高校生チャンピオンを決めようという趣旨ではないということが、ご理解いただけるのではないかと思います。
なぜ、そのようなことが起こるのか? それは彼ら選手の目標が、もちろんリーグで優勝すること、全国大会で優勝することにもあるのですが、最終的には「自分がスペインリーグ1部で活躍できるようになること」だからです。
なので、この全国大会に出場している選手たちも、「俺たちは今こうして全国大会に来ているけど、同じ年代の選手には、もうすでに違うレベルへ行ってしまっているやつがいるんだ。上には上がいるから安心している場合じゃない」ということを知っているのです。
ユース年代でも毎年活躍し、リーグ優勝を目指すのはもちろんなのですが、
結局、「ユース年代で結果を出したからなんなの? それで満足なの?」という感じなのです。優勝チームには注目が集まりますが、選手の立場からすると、この年代でタイトルを取ったといっても選手としての生活が保障されるわけではないという現実があるのです。
なので、周りからの注目度も低いわけです。
僕は自分の勉強のため、そのレベルのチームを指揮している指導者はどんなことをしているのかを見るために行ってきました。そして、高校生年代という一つの区切りで見れば、最高レベルのチームがそろっているわけですし、もちろん勉強になることがたくさんありました。
しかし、もう一方の現実として、本当にすごい選手はもうそこにはいないということを、きちんと認識しておかなければいけないと強く思いました。 |