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倉本 和昌
スペイン

スペイン通信 ~Entrenador KAZU~

倉本 和昌
1982年5月19日生まれ。広島県出身。中学生時代に選手としての限界に気づき、指導者になろうと決意する。高校卒業後、アルバイト期間を経てバルセロナへ。
2006-2007シーズンより、バスク人のみで構成されるアスレティック・ビルバオの育成部コーチに。さらに地元のチーム(U-12)で監督を務めている。スペイン公認コーチングライセンス中級取得。
「Entrenador」は指導者の意。

スペイン

■スペインリーグ1部の審判

2008.4.24

前回に続いて、審判の話をしたいと思います。

先日、僕がアシスタントコーチをさせてもらっているサントゥチュ Juvenil A(18歳)の試合で、たまたまスペインリーグ1部で主審を務めているイトゥラルデさんが笛を吹くことになりました。

選手たちは、「おい。あのバレンシア戦で○○(有名選手)を退場にした審判だよ……あの判定はひどかったな」などと話をしていました。

こちらでは、スペインリーグ一部で笛を吹く主審は有名人。テレビでは散々「今日の誤審!」という報道が流れます。たしかに審判の判定一つで試合が壊れたりしますし、そのせい(ではないけど……)で負けた試合など、判定を下した審判のことは忘れないでしょう。

選手年鑑の中にも審判部門があり、過去の試合数、出身地(これは大切)、本職、これまでに出したイエローカード、レッドカードの数などが記されています。新聞でも、過去、何の試合で誰々を退場にしたとか、PKを吹いたとか、このチームとは相性がいいとか悪いとか、すごく細かいところまでデータを出しますし。

ちなみにこのイトゥラルデさん。ビルバオ出身なのでスペインリーグ1部では、アスレティック・ビルバオの試合は吹けませんが、ときどきこうして地元ビルバオのユースの試合を吹いて、アシスタントコーチを指導したりするようです。

彼はもう12年もスペインリーグ1部で主審を務めるベテラン。
本職は歯科衛生士です。

この日も12歳の子が副審に入り、(普通このカテゴリーでは12歳の子が副審をすることはありえません)、もう一人の副審と共にマイクを使って実践指導していました。

それにしてもこの審判はとってもよくしゃべる人で、試合前からハプニングの連続。試合中も選手とよく話をしていました。

試合前にグラウンド脇でスパイクチェックを行っている間、突然うちの選手に、「おい! そこの17番! 今日の試合はあんまり調子に乗ってプレーするんじゃないぞ。わかったか」と真面目な口調でいきなりいい出すんです。

いわれたその選手も、「なんでいきなり俺にいうの……? 俺、何かした?」と唖然としています。

その瞬間、イトゥラルデさんは「がはははっ。さっき選手証見て、今日お前(17番の選手)が誕生日だってことがわかったらいっただけ。騒ぐのは試合が終わってからにしろよ(笑)」と一言。しかも、「だからお前にイエローカード出すからな」と宣言!! だからの意味がわからない。

周りにいた僕らは大爆笑。なんでも試合後に彼の誕生日会を選手たちですることになっていたそうですし、選手たちは腹を抱えて笑っていました。それにしてもよく見ていますね。

そんな感じで始まり、試合中もずっとしゃべってるんです。
選手にファウルの理由も説明するし、「なんだ。そんなの気にするな」とか「お前のそのフィジカルはスペインリーグ1部レベルだ。こんなところで試合に出てる場合じゃないだろ」とうちの選手にいってるんです。しかし、ジャッジ自体はとても的確。判定に対して、特に問題はありませんでした。

ちなみに試合中、本当にその17番の選手にイエローカードを出し(もちろん正しい判定ですが)、さらに試合後「誕生日プレゼントだ」といって、イエローカードをその選手に渡したんです。なんじゃそりゃ(笑)。

この日の試合を見て思いました。
イトゥラルデさんは選手以上に、試合の主役になりたがっていると・・・

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