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倉本 和昌
スペイン

スペイン通信 ~Entrenador KAZU~

倉本 和昌
1982年5月19日生まれ。広島県出身。中学生時代に選手としての限界に気づき、指導者になろうと決意する。高校卒業後、アルバイト期間を経てバルセロナへ。
2006-2007シーズンより、バスク人のみで構成されるアスレティック・ビルバオの育成部コーチに。さらに地元のチーム(U-12)で監督を務めている。スペイン公認コーチングライセンス中級取得。
「Entrenador」は指導者の意。

スペイン

■やりたくない職業

2008.4.18

僕にはどうしてもこれだけはやりたくないという職業があります。特にスペインでは……。

それは「サッカーの審判」です。
好んで審判をやりたいという人を本当に尊敬します。

こちらでは審判へのリスペクトなど、ほとんどありません。選手、コーチ、観客から、かわいそうなほどボロクソにいわれることもありますし、人権侵害、人種差別に近い罵声も……。

子供の試合でも、ときに観客が怒ってグラウンドに降り、警察沙汰になることもしばしばあります。それだけ全員の「勝ちたい」という気持ちが強いからなのでしょうが、それが度を過ぎると、モラルの問題になってきます。

審判がどんなに良い判定をしても、必ずどちらかのチームにとっては不利になるわけで、そうすると不利になったほうのチームから必ず文句をいわれる。

きちんとジャッジしているのに、常に文句が出るというなんとも損な職業です。その代わり、一試合あたりの配当金はかなり高いようです。やっぱり文句をいわれる代金も入っているんでしょうか……(笑)。

僕はあるとき、試合に来なかった審判の代わりに13歳の試合を1試合吹くだけで、50ユーロ(約8000円)もらったことがありました。

たった1時間半でこれだけのお金がもらえる。
1日2試合吹いて、土日で4試合やれば、かなりよいお小遣いになりますね。1カ月で800ユーロ(約13万円)近く稼げることになりますから。

なのでごく少数ですが、ほとんどサッカーのルールも知らないのに、この「お金」が目当てで審判をする人もいて、そういう審判に当たった時の試合は最悪です……。センターサークルから動かないで、オフサイドを取ったりしますからね。もちろんそうじゃない人、本当に潔白な(?)人もいるんですよ。

そんな環境で、いちアジア人である僕が審判をしたら、どうなるかはご想像の通り。

ちなみにスペインでは、指導者として協会に登録している人は、審判登録ができません。不正を防ぐためにチーム関係者は審判になれないことになっています。(一応?)公平を保つためです。

審判も全て協会登録で、振り当てられた週末の試合に行くという流れになります。経験や実績によって担当するカテゴリーが変わります。

よって僕は審判をすることはできませんが、以前にたまたま練習試合をするときに審判が来ず、誰もいなかったので、当時アシスタントコーチだった僕は嫌々引き受けたんです。

土曜日の朝早くからの試合だと、審判が来ないことがよくあります。
なぜ? もちろん前日飲みに行っていて、起きれないから……(失笑)。

もちろん公式戦では他チームのアシスタントコーチが審判をするなんてことは絶対にありません。まず、相手チームが承諾しない。

そのときは練習試合ということで僕が審判をやりましたが、散々、「チノ!(中国人)」と連呼され、酷い思いをしましたね……。今となってはいい思い出ですが。

それ以来、「もう絶対に審判はしない」と心に誓ったのです(笑)。

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