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僕にはどうしてもこれだけはやりたくないという職業があります。特にスペインでは……。
それは「サッカーの審判」です。
好んで審判をやりたいという人を本当に尊敬します。
こちらでは審判へのリスペクトなど、ほとんどありません。選手、コーチ、観客から、かわいそうなほどボロクソにいわれることもありますし、人権侵害、人種差別に近い罵声も……。
子供の試合でも、ときに観客が怒ってグラウンドに降り、警察沙汰になることもしばしばあります。それだけ全員の「勝ちたい」という気持ちが強いからなのでしょうが、それが度を過ぎると、モラルの問題になってきます。
審判がどんなに良い判定をしても、必ずどちらかのチームにとっては不利になるわけで、そうすると不利になったほうのチームから必ず文句をいわれる。
きちんとジャッジしているのに、常に文句が出るというなんとも損な職業です。その代わり、一試合あたりの配当金はかなり高いようです。やっぱり文句をいわれる代金も入っているんでしょうか……(笑)。
僕はあるとき、試合に来なかった審判の代わりに13歳の試合を1試合吹くだけで、50ユーロ(約8000円)もらったことがありました。
たった1時間半でこれだけのお金がもらえる。
1日2試合吹いて、土日で4試合やれば、かなりよいお小遣いになりますね。1カ月で800ユーロ(約13万円)近く稼げることになりますから。
なのでごく少数ですが、ほとんどサッカーのルールも知らないのに、この「お金」が目当てで審判をする人もいて、そういう審判に当たった時の試合は最悪です……。センターサークルから動かないで、オフサイドを取ったりしますからね。もちろんそうじゃない人、本当に潔白な(?)人もいるんですよ。
そんな環境で、いちアジア人である僕が審判をしたら、どうなるかはご想像の通り。
ちなみにスペインでは、指導者として協会に登録している人は、審判登録ができません。不正を防ぐためにチーム関係者は審判になれないことになっています。(一応?)公平を保つためです。
審判も全て協会登録で、振り当てられた週末の試合に行くという流れになります。経験や実績によって担当するカテゴリーが変わります。
よって僕は審判をすることはできませんが、以前にたまたま練習試合をするときに審判が来ず、誰もいなかったので、当時アシスタントコーチだった僕は嫌々引き受けたんです。
土曜日の朝早くからの試合だと、審判が来ないことがよくあります。
なぜ? もちろん前日飲みに行っていて、起きれないから……(失笑)。
もちろん公式戦では他チームのアシスタントコーチが審判をするなんてことは絶対にありません。まず、相手チームが承諾しない。
そのときは練習試合ということで僕が審判をやりましたが、散々、「チノ!(中国人)」と連呼され、酷い思いをしましたね……。今となってはいい思い出ですが。
それ以来、「もう絶対に審判はしない」と心に誓ったのです(笑)。 |