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倉本 和昌
スペイン

スペイン通信 ~Entrenador KAZU~

倉本 和昌
1982年5月19日生まれ。広島県出身。中学生時代に選手としての限界に気づき、指導者になろうと決意する。高校卒業後、アルバイト期間を経てバルセロナへ。
2006-2007シーズンより、バスク人のみで構成されるアスレティック・ビルバオの育成部コーチに。さらに地元のチーム(U-12)で監督を務めている。スペイン公認コーチングライセンス中級取得。
「Entrenador」は指導者の意。

スペイン

■レアル・マドリードvsレアル・マドリード?

2008.4.10

世界的ビッグクラブである「レアル・マドリード」。
一時は銀河系軍団と呼ばれるほど世界中から最高レベルの選手を集め、日本でもよく知られているスター集団です。

しかし、このチームが育成から、選手を次々と他クラブへ輩出していることは、意外にもあまり知られていません。
多くの優秀な選手を外からとってくるため、育成部から育ってきた若手選手に出場機会を与えるチャンスが他のクラブに比べて少なくなるのも原因でしょう。

現在、カシージャスやグティは生え抜き選手としてトップチームで活躍しています。「ラウールは?」というと、彼の場合は厳密にいうとレアル・マドリードの生え抜き選手ではありません。

もともとアトレティコ・マドリードの育成にいて、その当時のクラブの方針で、育成カテゴリーのチームをなくしてしまったため、ラウールはレアル・マドリードに移籍しました。そこで才能が認められ、17歳でトップデビューを果たしたというわけです。

もし、このときにアトレティコ・マドリードが育成部をなくしていなかったら、今ごろラウールはアトレティコのシンボルになっていたことでしょう(笑)。

さて、「他クラブへの流出」というところですが、最近、面白いことにレアル・マドリードからレンタル、もしくは完全移籍で別のクラブに移った選手は、水を得た魚のように活躍するというケースが起こっているんです。

顕著な例は、アルベロア(現リバプール、先日スペイン代表に選出)、
デ・ラ・レッド(現ヘタフェ、同じく先日スペイン代表に選出)、
グラネド(現ヘタフェ)、マタ(現バレンシア)、フラード(現アトレティコ・マドリード)、ハビ・ガルシア(オサスナ)など。

ほとんどが20代前半で、今後の活躍が期待される選手たちばかり。この中でデ・ラ・レッドとハビ・ガルシアの活躍はレアル・マドリード首脳陣を驚かせ、来シーズンはこの2人を買い戻すことも検討しているそうです。

レアル・マドリードで育った選手たちは、これまで出場機会がなかっただけで優秀な選手であることには間違いありません。

なので他クラブも、レアル・マドリードの若手選手を獲得しようとします。

そのことを重々知っているので、レアル・マドリード側は優秀な若手を出したがらなかったのは当然です。しかし、選手からすれば、どんなに優れた才能を持っていても、試合に出なければ宝の持ち腐れになるわけで、移籍させてくれない、または出場機会をくれないクラブ側への不満が募ります。

よってレアル・マドリードはうまく交渉しながら他クラブへ移籍させるのです。

例えばレンタルで移籍させたり、移籍金をしっかり取るなど。
または買い戻しのオプションをつけることはもちろんですが、見事なのは、他チームへ行って活躍しそうな選手の契約条項に「レアル・マドリードと対戦する場合、同選手は試合に出場してはいけない」という項目をつけ加えるところです。

「われわれが君を育てたのだから、育ての親を困らせるようなことはしてはいけないよ」と。

すごい。

先日の地元の新聞では、
「主に他チームで活躍しているレアル・マドリード出身の選手で構成される若手チーム」vs「多額の契約金でレアル・マドリードに移籍してきた外国人選手チーム」という対戦が実現したらどっちが強いのか? と議論されていました。

その新聞に書かれていた外国人チームのメンバーは以下の通り。
GK:ドゥデク
DF:エインセ、メッツェルダー、ぺぺ、マルセロ
MF:スナイデル、ディアラ、ガゴ、ドレンテ
FW:サビオラ、イグアイン

若手チームは以下の通り。(カッコ内は現所属チーム)
GK:ディエゴ・ロペス(ビジャレアル)
DF:アルベロア(リパプール)メヒア(ムルシア)、トーレス(レアル・マドリード)、パレデス(サラゴサ)
MF:フアンフラン(オサスナ)グラネド、デ・ラ・レッド(以上ヘタフェ)、マタ(バレンシア)
FW:ネグレド(ムルシア)、ソルダード(レアル・マドリード)

若手選手の数名は、日本の方々にはあまりなじみがないかもしれませんが、いずれも所属チームで主力として活躍している選手ばかりです。

これは、レアル・マドリードが外に出した若手選手が大活躍しているのに対し、契約してきた外国人選手がケガなどで思ったようなパフォーマンスが出せていないことへの皮肉なんですが。

本当にやってみたら若手選手チームが勝ったりして……(笑)。
誰がそれぞれのチームの監督をやるのかも、結果に影響を与えるでしょうね。

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