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倉本 和昌
スペイン

スペイン通信 ~Entrenador KAZU~

倉本 和昌
1982年5月19日生まれ。広島県出身。中学生時代に選手としての限界に気づき、指導者になろうと決意する。高校卒業後、アルバイト期間を経てバルセロナへ。
2006-2007シーズンより、バスク人のみで構成されるアスレティック・ビルバオの育成部コーチに。さらに地元のチーム(U-12)で監督を務めている。スペイン公認コーチングライセンス中級取得。
「Entrenador」は指導者の意。

スペイン

■サッカーを通じて何を伝えたい?

2008.4.5

かれこれ4年以上前の話です。
バルセロナで初めてのコーチングスクールに通い始め、方法論(教授論)の授業を受けました。

この授業は、いうならば指導の仕方、選手への伝え方、導き方の基礎を学ぶ授業なんですが、最初の授業で先生は
サッカーを通じて、あなたは選手に何を伝えたいですか? それをレポートに書いて持ってくるように」と宿題を出しました。

そのときには確か僕は「サッカーとは人生と同じようにうれしいこと、苦い経験がある。頑張っても結果が出ないこともあるけど、努力する素晴らしさなど、人生で経験するであろうすべてのことをサッカーを通じて伝えたい」という内容の、かなり抽象的、かつ幻想的なことを書きました。

今考えれば「何をいっているんだ」と恥ずかしいです(笑)

上記の質問。
本当に素晴らしい質問だと思います。

今でも忘れずに頭に残っているわけですし、何かあるたびに思い出し、自分を見つめ直す機会をくれます。

ことあるごとに考えていた質問の答え。
以前レポートに書いたことは非常に抽象的でしたし、イマイチピンとこない。

しかし、最近になってやっと自分の中で納得できる答えが出てきました。
それが最終結論じゃないかもしれませんが。

今は「サッカーを通じて自分で考え、行動する力を身につけてもらいたい」と切実に思います。あとはチームスポーツですから協調性でしょうか。

サッカーはサッカーがうまくなるためにやっているわけですが、誰もが承知のように全員が全員プロ選手になることはできません。
では、プロになれない他の選手はサッカーをやっていて意味がないのか?
そんなことはありません。

「僕達指導者はサッカーを通じて何を伝えたいんですか?」
最初に質問に戻ります。

サッカーはいろいろな刺激(味方、相手、自分の位置、ゴール、ボールEtc)が影響し、さらに瞬時に状況がめまぐるしく変わるなんとも複雑なスポーツです。

タイムアウトの時間もありませんし、監督の指示が外からあったり、事前にパターン練習による決め事もありますが、基本的に選手はその状況に応じて自分で判断することが求められます。しかも、ものすごい速さで。

自分で判断するためには、まず周りの状況を把握しないといけません。
そして「何がいちばんいい判断(オプション)なのだろうか?」と考え、そして実行するのです。そのときに下した判断の責任はもちろん自分自身。

つまりいわれたことしかできない選手や指示待ちの選手は通用しなくなります。
サッカーには2度全く同じ状況はないですし、指示を仰いでいるうちに状況は別のものになってしまいますから。

だから、僕はサッカーを通じて「自分で考え、行動する力」を身につけてもらいたいと思いますし、それを促すような練習を実践していきたい。そうなる手助けをしたい。

自分で考え行動することは生きていくことにおいても大切なことではないかと思います。

例え、その判断が失敗だったとしても、自分で考え、選んだわけですから本当の意味での失敗にはなりません。その経験を次への糧とすることができます。

とはいえ、こちらから何もオプションを与えていなかったり、選び方や判断の仕方を教えていない(もしくはたくさんのオプションから適切な判断が下せない)のにいきなり「自分で考えろ!」というだけで何もしないなのは、指導の放棄です。

まずは2つの選択肢から選ばせる。今度は3つのうちの1つ……と徐々に判断材料を増やしていく、もしくは複雑にしていくのです。
もちろん選手の成長度、理解度に合わせて。
その過程を経て、自然と自分で考えられるようになるのではないかと思います。

僕自身のいきたい方向性(指導フィロソフィー)は定まってきました。この考え方が絶対ではないと思いますが、今はその道を進んで行くことを選びたいと思います。

そして現在取りかかっているのが「では、選手たちが自分で考えるようになる具体的練習はどんな練習なのか?」を試行錯誤している段階です。

皆さんはサッカーを通じて何を伝えたいですか?もしくは(選手であれば)何を得たいですか?

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