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倉本 和昌
スペイン

スペイン通信 ~Entrenador KAZU~

倉本 和昌
1982年5月19日生まれ。広島県出身。中学生時代に選手としての限界に気づき、指導者になろうと決意する。高校卒業後、アルバイト期間を経てバルセロナへ。
2006-2007シーズンより、バスク人のみで構成されるアスレティック・ビルバオの育成部コーチに。さらに地元のチーム(U-12)で監督を務めている。スペイン公認コーチングライセンス中級取得。
「Entrenador」は指導者の意。

スペイン

■ホアキン・カパロス監督の育成

2008.3.26

ホアキン・カパロス監督の若手を抜擢(ばってき)する方法、その目の高さについてはずいぶん前にコラムに書きました。(ストライカーブログ第13回 「注目!ホアキン・カパロス監督」、第14回「改革へ着手!」を参照)

ホアキン・カパロス監督、またしてもやってくれました。

先日リーグ戦の合間を縫って行われた地元アマチュアクラブとの練習試合にて、なんと14歳(と10ヶ月)の少年を後半残り23分でデビューさせてしまいました!!

さらに、この試合ではアスレティック・ビルバオのサテライトに所属しているジュレン・ゴニ(18歳)や、コラムにも出てきたムニアイン(15歳)、イスマエル・ロペス(17歳)も試すなど、若手起用を積極的に行いました。

トップチームへの練習参加や練習試合への帯同もさることながら、彼がもっとも力を入れているのは「スペシャルトレーニング」です。

定期的に育成年代の選手を集め、実際にホアキン・カパロス監督が指導を施すというもので、面白いのがその招集方法と練習。

例えば、この日はFWだけの練習となると、サテライトから14歳チームのFW選手を全員集め、シュートトレーニングを行うんです。
ポジション別に分けるのは普通ですが、違う年代の選手も一緒に練習してしまうというのは面白いです。それに教えていることは「プロ用の技術」ばかり。

「敵DFとの駆け引きで、どうやって敵をファウルにならない程度で押し、また押さえてボールを受けるか?」など。
つまり、実際にプロの世界では「こんなことが行われているんだよ」というものが教えられています。

ただ、そんなファウルすれすれの行為などを育成の選手に教えてよいものか、教えるべきなのかどうか?というところはありますが……。

そのことはここでは議論しないでおきましょう。
なぜなら、ホアキン・カパロス監督、そしてクラブの目的は、多くの選手をトッププロにすることであるわけですから。それに、やってみた結果が出るのは、まだ先のことですし。

さらに、別の日にはセンターバックのスペシャルトレーニングが実施され、各年代のセンターバックの選手が集められ、「クリア」の練習を行いました。

わざわざ選手を集めて「ボールをクリア(遠くに蹴り出す)練習だって?なんだそれ?」と思われたかもしれません。

しかし、同監督いわく「プロの試合でも何点クリアミスが原因で失点しているんだ? 実はかなり多くの失点をクリアミスから招いている。でも、これまで、きちんとどうやってボールをクリアするか練習したことがあるか? 蹴り方や体の向きを教えたことがあるか? ないだろう。だから練習するんだ」といわれたときは本当に納得させられました。

なお、14歳でデビューを飾った選手の名前はジョナス。
アンゴラ人の父親と地元ビルバオ出身の母親との間に生まれたため、肌の色が違うことが最年少デビューよりも、さらに話題となったのですが……。

新聞では「アスレティック・ビルバオ初の黒人選手」というフレーズが飛び交いました。彼は5年前からアスレティック・ビルバオに所属していますし、いうなればクラブの生え抜き選手です。

肌の色だけが話題になるのもどうなのかと思いますが……。
ここの市民が感じる純血バスクという精神はある意味、日本人である僕には理解しきれない部分があるのも事実です。

話は戻ります。ホアキン・カパロス監督が今行っていること。その結果が出るのは数年後かもしれませんが、非常に楽しみですね。
ただ、肝心のトップチームの結果がなかなか出ていないのが心配ではありますが……。

引き続き、若手選手の動向には注目していきたいと思います。

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