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倉本 和昌
スペイン

スペイン通信 ~Entrenador KAZU~

倉本 和昌
1982年5月19日生まれ。広島県出身。中学生時代に選手としての限界に気づき、指導者になろうと決意する。高校卒業後、アルバイト期間を経てバルセロナへ。
2006-2007シーズンより、バスク人のみで構成されるアスレティック・ビルバオの育成部コーチに。さらに地元のチーム(U-12)で監督を務めている。スペイン公認コーチングライセンス中級取得。
「Entrenador」は指導者の意。

スペイン

■アスレティック・ビルバオになくて僕らにあるもの・・・

2008.2.22

先週、僕がアシスタントコーチをやらせてもらっているサントゥチュ Juvenil A(18歳)がアスレティック・ビルバオJuvenil A(18歳)とアウエーで対戦しました。

両チームが所属するのは日本でいうプリンスリーグで、育成年代でもっとも高いカテゴリーに属します。

というわけで当然、注目度も高い。
おまけにアスレティック・ビルバオもサントゥチュも同じビルバオ市内にあるクラブ。もちろん提携関係を結んでいるんですが、それはクラブ間の話であり、試合を戦う本人たちにとってはダービーマッチですから、ライバル心をむき出しにしています。

選手たちも互いによく知っていますからね。

実力的にはアスレティック・ビルバオが当然上なのですが、前回の対戦では2-2で引き分けているので、「やれない相手ではない。一泡吹かせてやろう」とうちの選手たちも気合を入れていました。

僕にとってはすべてが夢のような話です。今のチームでオサスナ、レアル・ソシエダ、アスレティック・ビルバオ、バリャドリッドなどのプロクラブのユースチームと戦うことができる。この経験は大きい。ありがたいことですね。

それに、これまでアスレティック・ビルバオの総合練習場で育成年代の試合を見ていて、「いつかはここでベンチに座れる日がくるといいなぁ」と感じていました。遠い夢のように考えていたことが、いよいよ現実になろうとしていたのですから。

ダービーマッチということで注目が集まる試合。
試合がある週に、監督が地元の新聞社から試合についての抱負を聞かれたそうです。

「今日、カンテラ(地元のスポーツ新聞)から電話があってとんでもない質問されたよ。『アスレティック・ビルバオと対戦をしますが、アスレティック・ビルバオが持っていなくて、サントゥチュが持っていることは何ですか?』って。
アスレティックが持ってなくて、うちが持ってるものってねぇ……まぁ相手は格上で、うちは失うものはないし、全力でぶつかろうというチャレンジ精神かなあって答えたんだけど。なんとも答えにくい質問だったよ」と監督は話をしてくれました。

インタビューに答えたりするのも大変ですね。変な質問しないでくださいともいえないですしね。真摯に答えないといけないですから。

さて、僕も考えてみました。
アスレティック・ビルバオが持っていなくて、僕らが持っているもの……。

なんでしょう?

あっ! そのとき、一瞬ひらめきました。

あるじゃないですか。アスレティック・ビルバオが持っていなくて、サントゥチュが持っているもの。
しかも、純血主義のアスレティック・ビルバオは持てないもの。

それは?

「Un Japones(ウン ハポネス=一人の日本人)」(笑)

それをいった瞬間、監督は大笑いしながら「あ~! そうだった。それをいえば良かった。確かにアスレティックには日本人がいない!!」

そんな冗談をいったのが災いしたのか(?)、試合は開始早々にミスから失点を許し、後半スタミナ切れを起こして2点を追加され、0-3で負けてしまいました……。内容的には互角以上の勝負をしていたのですが、決定力という点では完全に相手が勝っていましたね。

しかし、十分に相手を苦しめることができたと思います。全力で戦ってこそ学ぶことが出てくる試合。僕にとっては素晴らしい経験となったことはいうまでもありません。

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