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倉本 和昌
スペイン

スペイン通信 ~Entrenador KAZU~

倉本 和昌
1982年5月19日生まれ。広島県出身。中学生時代に選手としての限界に気づき、指導者になろうと決意する。高校卒業後、アルバイト期間を経てバルセロナへ。
2006-2007シーズンより、バスク人のみで構成されるアスレティック・ビルバオの育成部コーチに。さらに地元のチーム(U-12)で監督を務めている。スペイン公認コーチングライセンス中級取得。
「Entrenador」は指導者の意。

スペイン

■カタールに用心

2008.2.16

中東のカタールが資金力をフルに生かしてスポーツの世界で成功を収めようと動いているのは皆さんご存知の通りです。

サッカーでは、顕著な例としてオイルマネーを使って「元有名選手」をかき集め、リーグの活性化を図っています。

そういえば余談ですが、トルシエ氏も日本代表の後にカタール代表を指揮していましたね。

カタールは「Aspire」という名前の、世界でもまれに見る超巨大な総合スポーツ施設を2005年11月に建設しました。同施設の落成式にはペレ、マラドーナが参加。その後もジダン、ベッカム、マイケル・ジョーダン、ブラジル代表などの著名人が訪れ、注目を集めています。

優秀な才能を持った子どもたちをセレクトし、同施設内にてスポーツ、さらに勉学の面でもすべてをサポート。エリート教育を施し、世界的なスポーツ大国を目指す。
その拠点が「Aspire」というわけです。

スポーツは、陸上競技からサッカーまでと実に多岐に渡ります。そしてすべての子どもたちにかかる費用は施設側が負担し、無料で利用することができます。

範囲は29万平方メートル。職員350人。
現在1000人の子どもたちが活動しています。

施設内には5万5000人収容のドーム型スタジアムもあり、サッカーグラウンドはなんと7面の人工芝と5面の天然芝。

スペインのサッカーについて書かなければいけないはずのこのコラムで、なぜカタールを取り上げるのか? 全く関係ないじゃないか? と思われたかもしれません。

しかし、大いに関係あるのです。日本と、そしてスペインが。

上記の施設で、実はとんでもないプロジェクトが進行しているんです。
それは、「スーパータレント発掘プログラム」。

2007年からスタートしたこのプロジェクトは、南アフリカ、カメルーン、モロッコ、ナイジェリア、ガーナ、セネガル、ケニアの7カ国に住む、1994年生まれの子どもたちをセレクション。

そして同施設に連れてきて、最高の教育、そして最高の指導を施し、2018年のワールドカップ時にその子どもたちを「カタール代表」としてワールドカップに出場させ、結果を出すというものなんです。ちょうど94年生まれだと24歳ですからね。

もちろん2007年以降も毎年行われ、カタールをタレント王国にしようとしているんです。

その多くの子どもたちのセレクション、その後の指導にはヨーロッパで活躍していたエリートコーチたちが関わっています。

それだけだと「カタールはとんでもないことを考えているな。アフリカの国々の子どもたちを連れてきて、自分の国の選手として帰化させるなんて」で終わりです。そこまでインパクトは受けません。

「成功したら日本の脅威になることは間違いないけど、どうなんだろう?」と思う程度でしょう。

が、そのプロジェクトに関わっている一人のスペイン人指導者の名前を見た瞬間、「これは真面目にとんでもないプロジェクトになりそうだ」と感じました。

そのコーチの名前は、「ジョセップ・コロメル」。この名前を聞いてピンときた人はかなりのバルサ通。実は日本にも一度指導に行ったことがある人です。

同氏は元カタルーニャサッカー協会の講師であり、その後「指導者の先生」として非常に高い評価を受け、バルサの育成最高責任者に就任しました。
僕も数回だけですが、彼が講師をしているときに授業を受けたことがあります。

ここで彼のすごさを文章で説明するのは難しいですが、現在バルサのトップチームにメッシ、ボージャン、ドス・サントスをはじめとする優秀な選手が出てきていることが、その力を証明しているのではないでしょうか。

しかし、そんな彼もクラブ内のゴタゴタに巻き込まれ、結局バルサを去ることになったのです。その後「とんでもないオファーがきて、カタールに行った」ということだけは知っていたのですが、こうして改めて彼の名前が出てきて、一人で勝手に盛り上がってしまったというわけです。

同氏は資金力とコネクションを生かして、スペインの育成年代のチームをどんどんカタールに招待し、大会を開き、強化を行っています。

それにしてもアフリカの優秀な選手たちを集めて、元バルサの育成最高責任者をはじめとするエリートコーチが指導する。その選手たちが数年後にカタール代表としてアジア予選を戦う――。

これだけでも今後、日本にとってかなり脅威になると思うのですがどうでしょう。

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