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倉本 和昌
スペイン

スペイン通信 ~Entrenador KAZU~

倉本 和昌
1982年5月19日生まれ。広島県出身。中学生時代に選手としての限界に気づき、指導者になろうと決意する。高校卒業後、アルバイト期間を経てバルセロナへ。
2006-2007シーズンより、バスク人のみで構成されるアスレティック・ビルバオの育成部コーチに。さらに地元のチーム(U-12)で監督を務めている。スペイン公認コーチングライセンス中級取得。
「Entrenador」は指導者の意。

スペイン

■気になるクラブ

2008.1.17

キケ・サンチェス・フローレス
シュスター
ラウドルップ

この3人の監督に共通することがあります。

そう。それは過去、現在ヘタフェの監督を経験したことがあるということです。ラウドルップを除く上記の2人は監督としての素質が認められ、ヘタフェからバレンシア(解任されてしまいましたが……)、レアル・マドリードとビッグクラブへ移籍していきました。

この3人を選び抜いた人物。
クラブ創設は1983年と比較的新しいクラブではありますが、現在のヘタフェのすべてを作り上げたともいえるアンヘル・トーレス会長の存在抜きにはこのクラブは語れません。

まずはキケ・サンチェス・フローレスを抜擢(ばってき)したときの話から。

2003-04年シーズン、クラブ史上初めてスペインリーグ一部昇格を果たしたヘタフェのアンヘル・トーレス会長は大胆な起用を考えます。
当時レアル・マドリードのユースチームの監督をしていたキケ・サンチェス・フローレス監督をいきなり監督として登用することにしたのです。

元プロ選手だったとはいえ、過去にアマチュアチームも率いたことのなかった同監督の素質を見抜き、これまでの常識を覆す大胆な策を用いることにしました。

その期待にこたえるようにキケ監督は初のスペインリーグ1部挑戦で見事残留を達成。さらに13位という好成績を収めました。そのときの指揮が認められ、翌年にバレンシアへと移籍したわけです。

そしてシュスター監督。04-05年シーズン、レバンテを率いていた同監督をキケ監督の後継者に選びます。
シュスター監督は圧倒的な攻撃サッカーを標榜(ひょうぼう)。05-06、06-07年シーズンと連続で9位に。「残留争いをすることになるだろう」という大方の予想に反し、大成功といえる成績を収めます。

さらには国王杯においてバルサなど強敵を次々と倒し、決勝進出。
決勝ではセビージャに敗れましたが、セビージャがチャンピオンズリーグ出場権を獲得したため、準優勝であるヘタフェがセビージャに代わり、クラブ史上初となるUEFAカップ出場権を獲得したのです。

ヘタフェという小さなクラブ。資金力もそこまでなく、世界的に有名なスーパースターもいないクラブがビッグクラブ相手に攻撃的なサッカーを披露し、勝利する。人々はヘタフェの攻撃スタイルに酔いしれました。

結局その手腕とスタイルを買われて、シュスター監督はレアル・マドリードに移籍したわけです。

そのときからでしょうか。僕も「ヘタフェって面白いクラブだな」と気になり始めたのです。

そして、今シーズン。さらなる驚きが待っていました。なんとこれまでスペインリーグでの指導経験のなかった(選手としてはプレーしていましたが……)ラウドルップ監督を招聘(しょうへい)。2人の優秀な指導者がビッグクラブへと巣立ち、3人目はラウルドルップか! とびっくりしました。

シーズン当初はなかなか成績が出ず、批判の声が上がっていましたが、それでもアンヘル・トーレス会長は「ラウドルップのことを信じているし、監督を選んできたのは私だから最後は私が責任を取る」と発言。

最近流行のようになっている「成績が悪くなったら監督を首に」ということをせず、我慢し続けました。この会長の一貫性と人情味あふれる人柄、そして指導者を見抜く目がヘタフェをここまで押し上げたんだと思います。

あくまで外から見た僕の勝手な意見ですが。

チーム状態も時間が経つにつれ、徐々に良くなり、さらに初出場となったUEFAカップでは、予選リーグを首位で勝ち抜きベスト32に進出。UEFAカップの結果が活性剤となりリーグでの調子も上がっています。

僕が気になるのは、同会長がどういう基準で監督を選んでいるのか? ということです。もしくは、そういう基準があるのかどうか……直感であったとしても「では、どうしてそう思ったのか?」聞いてみたいのです。

そしてラウドルップ監督の今後と、もし良い成績を残して過去の例のようにビッグクラブへと移籍することになった場合、次に誰を連れてくるのか。

ぜひともアンヘル・トーレス会長と話をしてみたいものですね。

非常に地味かもしれませんが、ヘタフェの今後に注目してみてください。
ビッグクラブにはない面白さが発見できるかもしれません。

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