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倉本 和昌
スペイン

スペイン通信 ~Entrenador KAZU~

倉本 和昌
1982年5月19日生まれ。広島県出身。中学生時代に選手としての限界に気づき、指導者になろうと決意する。高校卒業後、アルバイト期間を経てバルセロナへ。
2006-2007シーズンより、バスク人のみで構成されるアスレティック・ビルバオの育成部コーチに。さらに地元のチーム(U-12)で監督を務めている。スペイン公認コーチングライセンス中級取得。
「Entrenador」は指導者の意。

スペイン

■練習が適当で、試合で活躍する選手

2007.12.28

この話を最初に聞いたときは、僕が日本人だからなのか? どうも腑(ふ)に落ちませんでした。

選手の中には、練習ではいい加減なことをやっていても、試合になると力を発揮する選手がいる。試合に勝つためにはそういう選手も必要だ」と。つまり競争に強い(本番に強い)選手ということです。

僕は「練習は試合のために行うもの。だから練習で手を抜くヤツは許さん!」と考えています。それに、練習を一生懸命やっている選手たちを試合に使いたいとも正直に思います。特に僕が担当しているのは育成年代の選手ですから、「ただサッカーがうまい」だけでは試合には使いません。

この考えは練習を真面目にやっている選手=良い選手であると錯覚しているのでしょうか。

実際に練習では素晴らしいパフォーマンスを発揮し、頑張っているけど、試合になると練習でやっていたことが全然できなくなる選手。練習はいい加減だけど、試合になるとなぜか(?)良いプレーをする選手がいることは事実です。

やはり練習と試合は別物なのでしょうか。上記の言葉は30年以上も育成に携わるクラブの育成部長から聞かされた言葉なのですが、最近「彼のいっていることも一理あるのかな」と思い始めています。

試合になると力を発揮する選手の多くは、誤解を恐れずにいえば(指導者からして)扱いにくい選手であることが多いです。わがままというか自己が強いというか。もちろん例外もたくさんあると思いますが。

昔、僕はそういった選手、つまりオフザピッチが良くない選手をばっさりと切っていましたし、態度が改まるように厳しくしかっていました。

しかし、最近はそういう選手の扱いに慣れてきたのか(?)どうやったらその選手の気持ちに火をつけることができるか? を考えています。
もちろんチームの最低限のルールを守ることや規律を重んじることは厳しく教えます。

ただ、態度が悪い、反抗的というだけで(そういうレッテルを張って)対応することは少なくなりました。態度が悪いから試合には出さない、ではかわいそうです。サッカー以外のことで怒られてサッカーが嫌いになってしまうでしょう。

逆に練習中から意識的にほめるようにしました。ついつい目立つ選手は悪いところばかりに目がいってしまいますが、あえて悪い部分には目を向けず、良いプレーをしたらほめる。それだけです。

「態度が悪いから駄目」と切るのはある意味簡単。しかし、そういう我の強い選手のほうがサッカー選手として良い選手であることが多いことも事実なんですよね・・・面白いことに。

そういう選手たちの使い道も考えないといけません。極論でいうとまじめな選手も必要ですが、それだけでは膠着(こうちゃく)した状況を打開できないことがあるんです。

試合になるとまじめな選手ではなくて、そういうタイプの選手が試合を決定付けるプレーやゴールを決めるんですよね。不思議と……。

だからこそチームとしてのバランスが大切で、起用するタイミングや事前の声かけ(モチベーションアップ)も考慮しなければいけません。決してそういうわがままな選手を甘やかして特別扱いするという意味ではありません。

前にも書いた「豚タイプ」の選手か「鶏タイプ」の選手かということですね(2007年10月11日号参照)。

自分が(その選手の態度を)気に入らないからといって、駄目出しするよりもその選手の使い道を考える。そのほうが指導者としての幅が広がると思いますし、ポジティブです。

と偉そうなことを書きながら、大変に苦戦中であることをお伝えしておきます(苦笑)

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