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倉本 和昌
スペイン

スペイン通信 ~Entrenador KAZU~

倉本 和昌
1982年5月19日生まれ。広島県出身。中学生時代に選手としての限界に気づき、指導者になろうと決意する。高校卒業後、アルバイト期間を経てバルセロナへ。
2006-2007シーズンより、バスク人のみで構成されるアスレティック・ビルバオの育成部コーチに。さらに地元のチーム(U-12)で監督を務めている。スペイン公認コーチングライセンス中級取得。
「Entrenador」は指導者の意。

スペイン

■選手育成規約

2007.12.13

Derechos de formación (デレチョス デ フォルマシオン)
日本語に訳すと「選手育成規約」となるでしょうか。

これはFIFAが定めた条約で、簡単に説明すると最初に、ある選手とプロ契約をしたクラブが、これまでその選手が所属していたクラブに対して契約金の数パーセントを支払うという権利条約です。そして、その選手が他のチームへ移籍をする際にも契約金の数パーセントが同様に前所属クラブ(プロ契約前のクラブ)に支払われるというものです。この条例はその選手が23歳になるまで適用されます。

つまり、「プロ選手に育ててくれてありがとう」という感謝の意を込めて、少年時代に所属していた地域のクラブに対して謝礼を払うということですね。代表選手になるとまた臨時ボーナスが出るようです。

スポーツにお金。おまけに育成年代で……

と考えると、なんだか嫌なイメージがありますが、そうではありません。
地域のクラブから優秀な選手が育つことは喜ばしいことであり、地域のクラブはその契約金の一部を受け取ることによって、また優れた選手を輩出するための環境の整備や用具を一新することができます。契約金の一部といっても地域のクラブにしたら大きな額ですからね。
よって、またそのクラブに所属している子供たちに還元されるわけです。

先日、僕がアシスタントコーチをやらせてもらっているチームがAntiguoko(アンティゴコ)というチームと試合をしました。このチームはサン・セバスティアンという町にあり、レアル・ソシエダ(現在2部の所属)と同じ町のクラブです。

このチームがうちのグラウンドに到着したときに、ぱっと目についたのは選手たちが着ているジャージー。アディダスのかっこいいジャージーで、ユニホームはナイキなんです。

これは日本では別になんでもないことなのかもしれませんが、こちらではジャージーやユニホームが有名メーカーであることは、イコール、クラブがお金を持っていることを指します(例外もあるかもしれませんが)。

ナイキ、アディダス、アンブロなど誰もが知っているメーカーはやはり高いらしく、地域のクラブは大体自前のメーカーを作り出すか、地域の小さなスポーツメーカーに頼んでジャージーやユニホームを作ります。
なので、「それ、どこのメーカーなの?」というものが多い(笑)。

しかし、Antiguokoがなぜそんないいジャージーやユニホームを持っているのか。実はそのチームは、レアル・ソシエダからイングランドのリバプールに移籍して活躍している、シャビ・アロンソが育ったチームなんです。彼以外にも、レアル・ソシエダに多く選手を輩出しています。

そして、彼らがプロ選手になったとき、上記の規約によって、契約金の一部がクラブに入り、クラブはそれを所属している子供たちに還元しているというわけです。なので、着ているものも有名メーカーでそろえられる。

そうなるとクラブとしても評判が高くなり、その評判でまたいい選手が集まってくる。
いい選手がクラブ内で切磋琢磨し、本当に優秀な選手はプロクラブと契約するという非常にいい循環が生まれているのです。

完全に選手を育成し、プロへと送り出すことを目的としたクラブです。
そういう形態をとるクラブもあるということですね。

ちなみにAntiguokoですが、これまでずっとレアル・ソシエダと提携していたのですが、レアル・ソシエダが2部に落ちてしまったため、提携を打ち切りました。それを知ったライバルクラブであるアスレティック・ビルバオが同クラブと提携しようと交渉中です。

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