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約1カ月前、世論は誰もがスペイン代表ルイス・アラゴネス監督の解任を望んでいました。思うようなプレーができない代表チーム。さらにヨーロッパ選手権予選でも本大会出場へ黄信号がともり、報道でも「ラウール(レアル・マドリード)を招集しないからだ」などと、はやしたてられました。
そんな瀕死の状態だったスペイン代表は、負けられないというプレッシャーの中、デンマーク、スウェーデンを見事破り、ヨーロッパ選手権出場権を獲得。しかも試合内容は完璧、さらに華麗なパスワークの美しいサッカーを披露したのです。
その要因はなんといっても中盤の構成力でしょう。
フェルナンド・トーレスがケガをしたこともあり、ルイス・アラゴネス監督は4-1-4-1システムを採用。中盤の底にアルベルダを置き、前には左からシルバ、シャビ、セスク、イニエスタという、ちびっ子軍団を配置。
ワントップにはビージャを置きました。
すると試合では、中盤の選手のテクニック、ボールをほとんど奪われない判断力で完全に相手を圧倒。それにボールを奪われたとき、また守備に回ったときのことを考えて、つぶし役もできるアルベルダを起用と、対策も完璧でした。
これまで、中盤にシャビ、イニエスタ、セスク、シルバを同時に使うという提案はなかなか出ていませんでしたが、イニエスタを右のウイングのように起用することでバランスを保つことに成功しているように思います。
デンマーク戦ではなんとパス28本連続、合計9名の選手が関わりゴールまで結びつけるというとんでもないコンビネーションプレーも生まれました。相手に全くボールを触られず75秒ボールを保持しゴールまで。ボールを奪ってからのスピードが要求される現代サッカーでは異例のゴールだと思います。
スペイン代表の歴史の中でもベストゴールだといわれているほどです。
ボールをどんどん回して、相手が我慢しきれなくなったところを切り崩すスペインらしいサッカーが戻ってきたような気がします。
そして、予選突破が決まると世論の反応は「スペイン代表はヨーロッパ選手権の優勝候補だ」と騒いでいます。なんて現金な……。
これまでやばいやばいといわれていたのが一転、いきなり優勝候補だなんて……。そんなことをいっているから本当にタイトルが取れないんじゃないの? といいたくなるのは僕だけでしょうか。
スペインリーグの監督や選手たちにも「今回のスペイン代表がヨーロッパ選手権の優勝候補だと思いますか?」という質問には、ほぼ全員がYesと答えていましたから。まぁスペイン人記者にそう聞かれたら「そうです」と答えるしかないのかもしれませんが、その豹変ぶりにびっくり。
そんな中、元レアル・マドリード監督カペッロだけは「プレーが美しいかどうかなんて関係ない。ヨーロッパ選手権本戦が始まったらとにかくゴールを決め、いかに相手に決められないようにするかに集中するだけだ。それにスペイン代表がこれまでワールドカップやヨーロッパ選手権で何度優勝候補に名前が挙がって、何回タイトルを取ったんだ? 事実をしっかりと認識しないといけないだろう」とばっさり。
僕個人の意見としては、それでもスペイン代表は美しいパスサッカーにこだわってほしいと思うのです。たとえそれで結果が出なかったとしても…… |