GAKKEN SPORTS BOOKS 最新版サッカールールブック
最新版
サッカールールブック
監修: 高田静夫
著: 三村高之
とっつきにくいサッカールールの内容を、日本人が理解しやすいようにジャンル分けして構成。判定の難しいケースもイラストを多く使って、簡単にわかるように解説。「日本でいちばんわかりやすいルールブック」の最新版。何かあったときに簡単に調べられる。
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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■日本人のメンタル

2018.06.21

まったく根拠はないのだが、今の日本代表なら10回戦えば1回はブラジルに勝てるだろうと思っている。「1勝3分け6敗くらいかな」と勝手に想像しているだけだ。そして、「相手がコロンビアなら2回勝てそうだな」と考え、その勝率20パーセントがワールドカップで出ることを期待していた。結果はそのとおりになったものの、ホルヘの予想と期待はあくまで11人対11人で戦うものなので、今回の勝利は回数に加えないことにする。日本が最も警戒していたハメス・ロドリゲスはコンディションが万全でなくスタメンから外れた。開始3分のPKで先制し、相手は10人になった。飛車角落ちはいい過ぎにしても、相当なアドバンテージをもらっての戦いだった。しかし、前半は接戦。前半終了時のポゼッションは日本が52パーセントとほぼ互角で、試合中に出された速報ではコロンビアが60パーセント。10人相手にこれはひどすぎないか。そんなに実力差があるのか。これだと、11人対11人だったら2回どころか永久に勝てないと絶望した。

ところが後半はまるで別のチームのように素晴らしいプレーを展開。「前へ前へ」「ゴールを目指す」という意識がはっきり表れていた。仕掛ける縦パスは、コースが限定されるうえ受け手とのタイミングを合わせるのが難しい。したがってカットされるリスクは高くなるが、日本はそれを恐れず積極的に多用した。そこからいくつものシュートチャンスが生まれ、コロンビアはそれを警戒するあまり下がりすぎて中盤が甘くなった。このためはね返されても再びボールは日本のものとなりポゼッションでも圧倒した。これなら、相手が11人でも2回は勝てる。

しかし待望の追加点を奪うと、また様子がおかしくなる。1-1の状況では、10人のコロンビアは「最悪、引き分けでもいい」との思いもあったはずで、リードされたことでスイッチが入ったことは間違いない。しかしペケルマン監督は、「ずっと一人足りない状態で戦ったので、選手は疲弊していた」と語る。つまりスイッチを入れても、肝心のモーターが本来の回転を出せなかった。そう考えると、終盤に日本が苦しんだのはコロンビアのせいとはいい難い。ホルヘは、原因は日本代表のメンタルにあると思う。先制点はキックオフ直後、大迫の2点目も73分なので、守り切ろうという時間ではない。選手にもそんな気はなかっただろう。しかし、それまで実証してきた「攻撃は最大の防御」が影をひそめてしまった。察するに、リードしたことで無意識のうちにリスクを恐れて安全策を選択するようになったのではないか。ハメス対策だと思うが、山口の投入も影響したかもしれない。柴崎岳より守備的な山口蛍が入ってきたことで、「守る」という潜在意識が高まったとも考えられる。山口の起用はセオリーであり間違いではない。しかしそれが選手の意識に影響を与えた可能性はある。

このような無意識の安全策やリスク回避は、代表の選手がどうだというのではなく、日本人特有のものではないだろうか。農耕民族として畑を守り災害に備え、収穫した穀物を管理保管するという先祖の堅実さがDNAに組み込まれているのだろう。村社会では一人が無茶をして他のものに迷惑を与えることは許されない。平穏無事がいちばんだ。試合数の多い所属リーグではそんなことにはならないが、代表の大事な試合では先祖返りする。子どもが生まれると、「守るべき家族ができたので、がんばります」などと決意を語ることがある。しかし実際には、子どもが生まれたことで転職や起業を思いとどまることが多い。リスクを恐れて安定を求めるからだ。1点のリードも同じこと。守るものができると消極的になるのだ。

とまあ、これらはすべてホルヘの推測だが、まったくの見当違いというわけではないだろう。ワールドカップで好成績を残すためには、日本人特有のメンタルを研究すべきだと思う。

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