GAKKEN SPORTS BOOKS 最新版サッカールールブック
最新版
サッカールールブック
監修: 高田静夫
著: 三村高之
とっつきにくいサッカールールの内容を、日本人が理解しやすいようにジャンル分けして構成。判定の難しいケースもイラストを多く使って、簡単にわかるように解説。「日本でいちばんわかりやすいルールブック」の最新版。何かあったときに簡単に調べられる。
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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■U-16の珍ゴール

2016.10.07

 開催中のAFC U-16選手権で日本代表がベスト4入りし、2大会ぶりにU-17ワールドカップへの出場権を得たという。じつにおめでたい。ホルヘにとって、U-17ワールドカップは忘れられない思い出がある。その大会は1995年のエクアドル大会。当時は2002年ワールドカップ招致に絡み、日本協会は対外的なアピールを積極的に行っていた。このためU-17代表も強化という目的で海外遠征を重ねた。関係者によると、これほど金を使ったユース代表は過去にない、とのことだった。

 本大会は7月で、それに先立つ春休みに代表はエクアドルとペルー、ブラジルへ遠征。ホルヘは取材の傍ら、エクアドルに詳しいということでサポートを申し出た。知人がリーガ・デ・キト(2008年クラブワールドカップ出場)のトップチームの監督だったので、代表スタッフに紹介してリーガのユースとテストマッチを組んだり、選手らを買い物に連れて行ったりした。このときの代表には小野伸二や高原直泰がいる黄金世代。FWには高原以上実績を持つストライカーがおり、南米のメディアに「日本のマラドーナ」と評されたテクニシャンや、冷静でFKが正確無比なキャプテンなどタレントが豊富だった。しかし、彼らがすべてプロで活躍したわけではない。この年代はまだ少年。将来の成否は、その後どこまで成長できるかにかかっている。現在のU-16ではバルサ帰りの久保建英が注目されているが、5年後にはサブや代表外の選手が逆転しているかもしれない。

 さて今回のアジア選手権のグループリーグで、アルゼンチンでも「最高に滑稽なゴール」と報じられた得点シーンがあった。日本でも報道されたとは思うが、意外と日本のメディアはアジア諸国に無関心なので、広く知られていない可能性もあるので記すことにした。試合はグループDの最終節、北朝鮮対ウズベキスタン。49分、1-0でリードしているウズベキスタンのGKが前線へパントキックを放つ。高く上がったボールは味方FWを越えた。すると北朝鮮GKがペナルティーエリアを飛び出し、これをヘディングではじき返そうとして、被った。ボールは北朝鮮ゴールへ転々とするも、すぐにターンしたGKが余裕で追いつけそう。しかしペナルティーエリアに入ったところで、芝に足を取られたか、はたまた滑ったか、バッタリと転倒。慌てて起き上がってボールに向かうも間に合わず、滑稽な失点となった。

 GKがエリアを飛び出してボールを処理する際、キックするフェイントで突っ込んでくる相手FWをけん制し、空振りして素早く反転し、エリア内でキャッチすることはよくある。北朝鮮GKは、これを狙ったのだろうか。このレベルの選手が、あれほど見事に被るとは思えない。目測を誤ったようにも見えるが、もし本当に被ったのなら、慌てて全力でボールを追うはずだろう。しかし彼は、7~8割の速度で走っているようだ。もし最初から全力で走っていれば、転んでも間に合ったかもしれない。南米のメディアには、「故意に転んだのでは」と見る向きもある。実際に数カ月前にブラジルの下部リーグでGKの八百長疑惑があり、FIFAに調査に乗り出した。4部とか5部に相当するリーグながら合法な賭けの対象になっていた試合が3-0で終了。賭け屋が、3-0の的中者が異常に多いことを不審に思い通報したもの。3点目はGK正面へのミドルシュートだったが、なぜか不可解なダイブをしてゴールイン。動かなければ、難なくキャッチできていた。

 グループリーグ最終戦なので、次の相手を考えて故意に負けることは考えられる。この試合に勝って1位となれば、準々決勝はイラク戦。負ければオマーンだった。結局、1位通過したウズベキスタンはイラクに敗れ、北朝鮮はオマーンを下している。しかしこの失点の時点で0-1だったので、2位になりたいのなら点を取らなければいいだけのこと。ひょっとすると、経済制裁に苦しむあの国が、アジア選手権を舞台に大掛かりな賭博を行っているのだろうか。とまあ、空想は膨らむ。八百長以外にわざと転ぶとすれば、ウケ狙い。観客を沸かせたうえでボールに追いつく予定が、計算ミスで失点してしまった。これも、選手の性格や試合の状況によってありえないことではないものの、北朝鮮では考えられない。好プレーは「すごい」の一言で片付いてしまうが、珍プレーについては、このように背景を詮索する楽しみがある。

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