GAKKEN SPORTS BOOKS 最新版サッカールールブック
最新版
サッカールールブック
監修: 高田静夫
著: 三村高之
とっつきにくいサッカールールの内容を、日本人が理解しやすいようにジャンル分けして構成。判定の難しいケースもイラストを多く使って、簡単にわかるように解説。「日本でいちばんわかりやすいルールブック」の最新版。何かあったときに簡単に調べられる。
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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■アルゼンチン対ブラジル

2015.11.26

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 ワールドカップ南米予選の第3節、アルゼンチン対ブラジルが11月13日に行われた。キックオフ前、「フランスでの惨事に対して黙とうを行います」とのアナウンスがあった。フランスの惨事とは何であろうか。周りのカメラマンに、「フランスで何があったんだ」と聞いたが、誰も知らない。まあ、それも無理はない。事件が起きたのはアルゼンチン時間の午後5時半ごろなので、速報が流れたのは7時すぎのはず。9時開始の試合に合わせて動いている取材陣の多くは、ニュースに接する時間がなかった。ホルヘが事件の詳細を知ったのはハーフタイムのとき。撮影しながらラジオで実況を聞いていたのだが、前半が終わるとすぐにフランスの事件を伝え始めた。「おそらくテロがあったのだろう」と予想はしていたものの、「劇場で武装集団が乱射し100名以上が死亡。他の場所でも襲撃があり、数十名が死傷した模様」というニュースを聞いて絶句した。

 前回ワールドカップ準優勝のアルゼンチンだが、先月から始まった予選では、初戦でエクアドルに敗れ、次はパラグアイと引き分けとまだ白星がない。前回予選までは、強豪国には比較的有利なカードが組まれていた。開幕戦はホームで弱い相手とだった。しかし今回は、いきなりワールドカップ出場国のエクアドル、さらに隣国の強豪パラグアイ、そして3試合目がブラジルだ。このカードはかなりきつい。グロンドーナ(元アルゼンチンサッカー協会会長兼FIFA副会長)が生きていれば、絶対にこんなことにはならなかっただろう。なんとしてもここで勝って勝ち点3を稼ぎたいアルゼンチンだが、チームは異常事態にあった。メッシ、アグエロ、テベス、パストーレ、サバレタ、ガライの6名もが負傷で離脱。それに対してブラジルは、出場停止処分が明けたネイマールが復帰する。どう考えても、アルゼンチンが圧倒的に不利だ。

 ブラジルにとっても、アルゼンチンとの一戦(スーペルクラシコと呼ばれる)は特別なもの。ドゥンガ監督は、「これは戦争だ」とまでいっている。サッカーを戦争に例えるのは昔からよくあることだが、最近はそれを自粛する傾向にある。双方の国民をヒートアップさせすぎないためと、戦争という殺りく行為と、その最極端にあるスポーツという美しい行為を明確に区別するためだ。しかし、ドゥンガはそれを知ってか知らずか、あえてこの言葉を使った。そして彼は、試合当日にスタジアムのロッカールームに入るとすぐ、アルゼンチン側が用意してあったミネラルウオーターなどをすべて撤去したという。変な薬でも入れられていたらたまらない、というわけだ。瀕死のアルゼンチンなら、それくらいのことはしてくると、本気で考えていたのかもしれない。

 実はこの試合、前日に行われるはずだったものが豪雨で延期された。ピッチ状態が悪いほうがアルゼンチンに有利と、サポーターは降雨を願ったが、それが叶いすぎてしまった。しかし大方の予想に反し、試合はアルゼンチンが圧倒。スター不在と総合力の低下を、運動量と選手の連携でカバーした。イグアインをCFに据え、やや下がり気味の右にディ・マリア、左にラベッシ。その後方には、ボランチが本職のマスチェラーノ、バネガ、ビグリオが控える。この6名が走り回ることで、主導権争いに勝利した。

 一方のブラジルは、ネイマールが全くの期待外れ。バルセロナでの彼とは、別人のようなプレーしかできなかった。特に前半はアルゼンチンが攻め続け、33分にラベッシが先制点をマーク。バネガが中盤でボールを奪い、右から中へ入ってきたディ・マリアがこれを受けてドリブル。そして、右前方へ流れたイグアインにパス。イグアインの動きにDFが釣られた中央へ、ラベッシが走りこんでクロスに合わせた。華麗なプレーはひとつもないが、見事な展開から生まれた美しいゴールだった。ブラジルは58分、ダニ・アウベスのピンポイントクロスをドゥグラス・コスタがフリーでヘッド。これは決めきれずバーに当たったが、その跳ね返りをルーカス・リマが蹴りこんだ。

 結局、スーペルクラシコの大一番は1-1で終了。有利といわれたブラジルはそのチャンスを生かせず、一転してゲームの支配者となったアルゼンチンも、幾多の好機を逃して勝者にはなれなかった。まさに、痛み分けといったところ。アルゼンチンは次節のコロンビア戦でも苦戦が予想されており、まだ先は長いものの、予選突破に暗雲が立ち込めてきた。

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