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日本を出る前、船便で日系のアミーゴに送った小包が、4カ月経ってやっと届いた。普通は3カ月程度で着くはずだが、今回は一向に音沙汰がない。そこで心配になり、荷物番号を伝えて日本の郵便局に調べてもらった。これが7月中旬のこと。するとすぐに連絡があり、荷物は5月27日にアルゼンチンに陸揚げされているという。さらに追加連絡で、同日ブエノスアイレス港に到着しているが、原因は不明ながら、荷物が入ったコンテナはそのまま放置されており、すみやかに配達するようアルゼンチンの郵便局に依頼書を送った、との情報を受け取った。さすがは日本の郵便局、見事な対応である。そしてその依頼書が功を奏したか、すぐに小包の引き換え証がアミーゴの家に届いた。
しかし、アルゼンチンの郵便局だか税関だか港湾局だかは、なんと仕事の遅いことか。約2か月もコンテナごと放置していたのだ。たしかに、今日港に着いたものを明日配達するのは無理な話。通常でも数週間はかかる。しかし2カ月というのは長すぎる。これはきっと、ワールドカップの影響だろう。試合はこちら時間の朝から夕方までだったので、係員は仕事をせずにすべての試合を見ていたに違いない。業者を使って日本から書籍を取り寄せた人からも、いつもより日数がかかったと聞いているので、この想像はあながち間違いではあるまい。
アルゼンチンの国際郵便のシステムは、船便の場合、家に届けられた引き換え証と身分証明書を持参して本人が国際郵便局まで取りに行く。本人が行けなければ、委任状と本人(あて先人)の身分証明書を預かった代理人が受け取ることもできる。しかし、奥さんがダンナあての荷物を受け取るにも同様のことを必要とするなど、ずいぶんと仰々しい。航空便は家まで届けてくれる上、間違いなくその住所に届けたのだから、本人がいなくても家族などが受け取れる。しかし料金が高い。船便に比べて航空便の料金が高いのは当たり前だが、それだけでなく、数年前から受取人も税金名目の料金を払わなければならなくなった。それは送料と内容品価格の合計の50パーセントとかで、べらぼうなものだ。日本のお姉さんからカップラーメン10個を送られた人は、約8000円を請求されたという。
さて、引き換え証はアミーゴの家に届いたが、これで一件落着とはいかなかった。ホルヘに、「あれを送ってくれ、これも送ってくれ」と段ボール3箱、計約50キログラムの荷物を頼んだ本人は、5月末に亡くなってしまった。つまり、身分証明書を持って小包を引き取りに行く人間がいないのだ。しかしそういう事情なら、未亡人が婚姻証明書とダンナの死亡証明書を持って行けば受け取れるはず。未亡人もそのつもりで書類を用意したが、念のために電話で国際郵便局に聞いてみると、「受取人死亡の場合は、荷物は差出人に送り返す」といわれた。
そこで未亡人が、「差出人は今ブエノスアイレスにいる」というと、「その人が送り状の差出人控えを持っているなら、ここで差出人に引き渡す」との答え。ようするにその人がいうのには、ホルヘが送り状と身分証明書を持参し、どこの局でも構わないので郵便局へ行き、受取人死亡という事情を説明し手続きをする。すると後日ホルヘの家に新たな引き換え証が届くので、それで荷物を受け取れるのだという。ホルヘが1人で郵便局へ行き、「受取人が死んだ」といっても信じてくれない恐れがあるので、書類を持った未亡人と同行して局を訪ねた。するとそこの窓口の人は、「これだけの書類があれば、これで直接受け取れる」という。これが南米だ。同じ組織の中で、同じ問題に対しても人によって答えが違う。そのまま国際郵便局に向かい係員に書類を渡すと、またしてもダメだとわれた。しかし、「郵便局で詳しく調べてもらい、その結果大丈夫だといわれた」とねじ込むと、「じゃあ、あの窓口で聞いてみて」と逃げる。結局、彼らも規則を熟知しているわけでなく、適当に判断しているのだ。だから、「あそこではOKといわれた」とハッタリをかますと、たちまち腰砕けになることも多い。こちらでは、「役所などでダメといわれても、必ずOKという人間がその役所の中にいる。だから、そういう人に当たるまで聞きまくれ」という話を耳にする。一度や二度ダメといわれても、あきらめずに押せば、道は開けるということだ。そういえば日本にも、「嫌よ嫌よも好きのうち」という言葉があるが、それは関係ないか。 |