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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■マラドーナとコージ

2010.8.4

 ほぼ決定していたマラドーナの続投が、突如なくなった。サッカー協会は過日、条件つきで契約更新のオファーを出すことを発表。そのときの条件は、簡単な2項目だった。その線でグロンドーナ会長とマラドーナは電話で接触し、何ら問題のないように思われていた。しかし直接会っての正式会談で、グロンドーナは代表スタッフの刷新に言及した。コーチやトレーナー、ドクターはマラドーナの友達ばかりで、仕事仲間というより完全な仲良しグループになっている。決して能力が劣るというわけではないが、空気があまりにもフレンドリーすぎる。選手ともナァナァの関係になっているので、協会側はそこを正そうとしたようだ。しかしマラドーナはこれに反発し、「オレのスタッフは、用具係まで含めて1人も替えさせない」と大見栄を切った。そして、「これがこちらの条件だ。協会がこれを受け入れなければ、監督を続けない」くらいのことをいったようだ。たぶん、マラドーナとしては駆け引きをしたのだろう。「1人も替えさせない」というのはブラフで、数回の交渉の末、3~4人の変更はやむを得ないと思っていたはず。しかし翌日の理事会で、協会サイドはこのブラフをシメシメとばかりに最終通告と解釈し、契約延長しないことを全会一致で決定した。

 その翌日マラドーナは、「グロンドーナはウソをついた。ドイツ戦のあと、オレに続けてほしいといっていた。ビラルド(GM)は裏切り者だ。敗戦のあと、オレを追いだすように画策していた」と恨み節を並べた。また数日後には、元代表選手のルジェリがグロンドーナから脅迫されたと爆弾発言。ルジェリは86年メキシコワールドカップの優勝メンバーで、マラドーナとは仲がいい。しかしグロンドーナは彼を嫌っており、マラドーナが代表のコーチに入れようとしたが却下している。それゆえ正式なコーチではないが、常にマラドーナのそばにおり、代表チームにも接触していた。そのルジェリによると、そういう行動が気に入らなかったのか、グロンドーナから銃撃をほのめかす脅迫を受けたというのだ。ことの真相はともかく、こんなことで罵り合うスキャンダルは見苦しい限り。

 新監督の人選は難航しているが、例によって名前が挙がっているのは元ボカ監督のビアンチ。あるアンケートでは50.5パーセントが彼の就任を望んでいる。しかしビアンチは、これまでに何度も候補に挙がりながら固辞してきた。理由は、通年で練習や試合をしない代表の指導は彼のスタイルに合わないからだという。しかしそれは表向きの理由で、本当はグロンドーナと肌が合わないからだとされている。この噂はグロンドーナも承知しており、先日はわざわざ、ビアンチとの間に問題はないと釈明していた。2番人気は、エストゥディアンテスをコパ・リベルタドーレス優勝に導いたサベージャの11.9パーセント。彼はパサレジャ監督のアシスタントコーチとして代表スタッフだった実績がある。さらにはシメオネ、バチスタ、ディアスらの名も挙がっているが、協会も人選は急がないとしており、正式決定はしばらく先になりそうだ。

 チームを去るのはマラドーナばかりではない。われわれのサッカー仲間コージも別れのときを迎えた。ホルヘが所属するクラブ・マルガリータの中心メンバーだった彼は、8月2日に14年暮らしたアルゼンチンを離れ、日本へ帰国した。サンロレンソのユースを経て、当時1部リーグだったアルマグロの2軍に所属していた実力者。ホルヘも何かと教わることの多い好青年だった。帰国前日にはお別れサッカー大会を企画。「たまには11人制をしよう」ということで、アタランタというプロチームのグラウンドを借りるという計画を立てたが、それは頓挫してしまった。結局、いつもと同じミニサッカーでお別れ試合。ホルヘも一応参加して、ほとんどボールには触らないが、走るだけは走って汗をかいた。コージがいなくなるのは戦力としても痛手だが、それ以上にチーム運営に影響しそうだ。これまで彼が中心となって予定を組んだり連絡を回したりしていたので、今後は誰かがそれを引き継がねばならない。しかしメンバーを見渡たすと、みんな南米ボケしたいい加減な奴らばかり。どうも心配だ。はたして、クラブ・マルガリータは存続できるのだろうか。

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