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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■パラグアイ戦と参議院選挙

2010.7.15

 ワールドカップと参議院選挙が終わり、日本も落ち着いたことだろう。今回のワールドカップはイングランドの幻のゴールやテベスのオフサイド、ルイス・ファビアーノのハンドなど得点に絡む判定の問題が多かった。これをミスジャッジと見るかドラマと見るかは人それぞれだろうが、ホルヘはドラマ派だ。こういう判定があるから、面白味が増すと思っている。だいたいイングランドのゴールなどは、現在の制度では得点を認めるのは不可能。オフサイドラインにいる副審からは、ボールが完全に入ったどうか確認できない。この場合の「確認」というのは、100パーセントの自信をもって「入った」といえるかどうか。「たぶん入った」とか「入ったかもしれない」程度では得点を認めない。もし得点を認めて、後で実は入っていなかったことがわかれば、それこそ大問題になる。このことは他の媒体にも書いたが、あまりにも簡単に「ミスジャッジ」の烙印を押されているので、あえてここでも記したい。

 今大会の出来事で最も面白く劇的だったのは、ウルグアイのスアレスのハンドだろう。同点で試合終了間際、ラストプレーで故意のハンド、そしてPK失敗。「本当にこんなことがあるのか」と思うほど、実によくできた展開だった。DFが故意のハンドでシュートを止めるケースは珍しくない。本人とすれば、一発退場覚悟で相手のPK失敗に賭けるわけだ。しかし、ほとんどの場合PKは成功する。となると、ハンドしてもしなくても失点することは同じ。しかしハンドをすれば退場のおまけがつく。ホルヘはかねてから、シュートを故意のハンド(あるいは他の反則)で止めるのはバカげていると思っていた。たとえ失点しても、11人そろっていたほうが挽回(ばんかい)の可能性が高い。PK失敗という少ない確率に賭けて確実に人数を減らすのは理に合わない。もちろん、今回のスアレスのケースは残り数秒だったので、やる価値はあった。問題は、残り何分から賭けに出るかだろう。人に聞いてみると、残り5分でもやる、というのがかなり多い。残り10分というのもいたし、時間に関係なく、そうなったら手を使うだろう、というのもいた。ようするに、選手によってさまざまなのだ。「残り何分から手で止める」かについて、チームで統一する必要があるようだ。

 PK戦にもつれ込んだ日本vsパラグアイ。現地パラグアイの日系人はどちらを応援したかというと、2世3世はもちろん母国のパラグアイ。通常こうしたケースでは、どこの国でも日系1世は日本を応援する。差別を含めた困難が多々あったので、それを見返すという意味合いも強いのだろう。しかしこの試合では1世の多くもパラグアイを応援したという。当事者によると、「パラグアイにはオリンピックの金メダルとかノーベル賞受賞者とか、世界一あるいは世界に誇るものが何もない。それに引き換え、日本にはいくつもある。優勝とまではいわないが、上位に入れば国が活気づく。そうすれば、経済も少しは好転する。サッカー後進国の日本に負けるわけにはいかないんだよ」とのことだった。

 参議院選挙の在外投票は、6月25日から7月3日まで各国の日本大使館で行われた。南米のある国でも、大使館内に投票所が設けられていた。しかし日本vsパラグアイ戦の29日は投票者も少なく、試合最中は誰も訪れなかったらしい。そりゃそうだろう。そして試合は延長戦からPK戦へ突入。そしてPK戦が2-2という佳境に入ったところで、大使夫妻が投票にやってきた。なんで、試合を見ていないんだ。そして投票の最中に日本の敗退が決定。後で「日本は負けました」と知らされると、「応援してたのに、残念だったね」といったとか。応援の意味がわかっているのだろうか。サッカーが好きか嫌いかは個人の問題だが、ワールドカップ日本招致などにも絡んでくるので、特に海外で公職にある人は、多少なりとも体裁は整えてもらいたいものだ。

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