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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■アルゼンチンのベテランFW

2010.5.12

 ハイチとのテストマッチは、アルゼンチンが4-0の大勝だった。会場は地方のこぢんまりとしたスタジアム。なんでこんなところでやったのかというと、このメンバーでは、ブエノスアイレスでやっても客が集まらないからだと思われる。なにしろ国内組だけの、しかも若手中心の軽いメンバーなのだ。試合の目的は大地震に見舞われたハイチの救済。FIFAでは、ハイチ支援のための規定を作り、テストマッチの総収入の一定割合をハイチに渡すよう義務付けている。このシステムで義援金をたくさん稼ぐためには、テストマッチを数多く消化すればいい。しかしハイチのレベルは低いため、多くの国にとってサッカー的メリットはない。したがって、サッカーの強化とハイチの救済は別物という考えになり、FIFAの名案「絵に描いたもち」になりかねない。そこで、FIFA副会長でありアルゼンチンサッカー協会会長でもあるグロンドーナが旗振り役を務めたのだとホルヘは思う。もともとサッカー的意義はないのだから、軽いメンバーでお茶を濁す。それで客が入らないと恥をかくので、代表なんか来たこともない場所を会場にしたのだろう。さすが、策士グロンドーナだ。

 この試合の呼び物は、パレルモとオルテガのベテラン2人だった。ボカとリーベルの顔として人気と実績のある彼らだが、代表で一緒にプレーしたことがあっただろうか。ホルヘには記憶がない。しかしこの2人は、去年だか一昨年にテレビCFで共演している。ケータイ電話の宣伝で、パレルモが何かいうたびにオルテガが「オレも」と追随するものだった。「オレのケータイはいつでもネットにつながる」「オレも」、「オレのケータイはどこでもネットが使える」「オレも」といった感じで進む。そして、たぶんパレルモのアドリブかスタッフの仕掛けなのだろうが、最後に突然、「オレは200得点を決めた」と関係ないことをいいだし、オルテガは戸惑いながらも、それまでどおりに「オレも」といって笑いを誘うものだった。この試合では、CFほどの名コンビぶりは発揮できなかったものの、パレルモは豪快なヘッドで2点目をゲット。しかしキックオフ直後に、観客が景気づけに打ち上げたロケット花火が至近距離で爆発し、アゴに裂傷を負うという災難がパレルモを見舞った。

 残り2節となったアルゼンチンリーグは、首位のエストゥディアンテスvsロサリオ、2位のアルヘンティノスvs3位のインデペンディエンテの2試合が同時刻に行われた。試合前の時点で、勝ち点はエストゥディアンテス36、アルヘンティノス35、インデペンディエンテ31。結果次第でエストゥディアンテスの優勝が決まる。ホームのエストゥディアンテスは相手が17位ということもあり、ベロンなどを温存。しかし降格争い中のロサリオが踏ん張り、0-0の引き分けに終わった。アルヘンティノスvsインデペンディエンテはアルヘンティノスがホーム。このスタジアムは、かつて所属していたマラドーナにちなみ、ディエゴ・アルマンド・マラドーナの名前がつけられている。アルヘンティノスがリーグ優勝したのは85年の一度だけ。そのときマラドーナはすでにいなかったが、彼を移籍させたことによる収入プラス交換トレードが栄冠の元になっている。

 マラドーナも観戦に訪れたこの試合、アルヘンティノスが先制するも、逆転され1-3という苦しい立場に追い込まれた。同時刻に試合を行っているエストゥディアンテスが勝てば、それで優勝は決まってしまう。しかしここから4-3と逆転。この結果、残り1節で首位に躍り出た。アルヘンティノスには、カルデロンという39歳のベテランFWがいる。彼は一昨年アルセナルでコパ・スダメリカーナに優勝し、昨年はエストゥディアンテスでコパ・リベルタドーレスを制覇。昨年いっぱいでの引退を決めていたが、熱望を受けてアルヘンティノス入り。もし今年も優勝すれば、とんでもない福の神ということになる。

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