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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■無名のゴドイクルスが健闘

2010.5.7

 前回少し触れたが、リーベルのブオナノッテが交通事故の負傷から復帰した。この事故はワインを飲んで猛スピードで立木に激突したもの。明らかな酔っ払い運転だったが、アルコール濃度がその地域の取り締まり基準に達していなかったため処分はなし。しかし同乗者3人が死亡し、自らも重傷を負った。亡くなった同乗者は地元の友人で、ブオナノッテもすごいショックを受けていた。しかし遺族から早く復帰して活躍するよう励まされ、一日も早くピッチに立てるよう治療に専念した。またリハビリ中には、「いつでも彼らと一緒にいられるように」と、友人たちの名前のタトゥを入れたという。

 とにかくそんなことがあって第15節から復帰したのだが、その翌週に今度はオルテガが高速道路で自動車との衝突事故を起こした。幸い負傷者はなく、相手と話をしてそのまま運転していったが、これも酒酔い運転だったといわれている。オルテガは完全なアルコール依存症で、飲みすぎで練習をサボり、たびたび監督とトラブルを起こしている。そのペナルティーとして、08-09年は2部リーグのインデペンディエンテ・リバダビアに飛ばされた。リーベルに復帰してからも強制的に治療を受けさせられているが、本人に酒を断つ気がないようで、相変わらず飲んでいる。その気持ち、ホルヘはよくわかる。とはいえ、身近にブオナノッテの例があるのに、酒酔い運転とは懲りない話だ。

 しかしそんなオルテガは、非常に人気がある。優等生ぞろいのリーベルにあって異端の存在だからだ。そして、その自由奔放なプレーぶりはアルゼンチン人の気質に合っている。管理主義のビエルサ監督ですら、彼が代表を率いていたとき、オルテガにだけ前線での自由なプレーを許していた。好不調の波はあるが、調子に乗れば36歳の年齢を感じさせない。5月5日のアルゼンチン代表vsハイチ代表の試合にマラドーナが招集したほどだ。もっともこの試合は国内選手ばかりで、会場も地方のネウケン。ハイチ地震の救済的なものにすぎない。この試合前に行われた後期リーグ第17節では、ベレス相手に持ち味を発揮して勝利に貢献。途中出場のブオナノッテも決勝点となる復帰第1号をマーク。ゴール後ユニホームを脱いだブオナノッテの右上腕部には、まだ保護用のプロテクターが着いていた。そして左腕に何度もキスしていたが、そこには亡くなった友人の名前があったのかもしれない。

 アルゼンチンリーグの今季の台風の目は、ゴドイクルス。国際的には、まったく無名のクラブだ。チリとの国境に近いメンドーサがホームで、1部への初昇格は05年。しかし1シーズンで降格し、08年にふたたび1部入りを果たした。昨季は17位だったが、アサド監督が就任した今季は快進撃で優勝争いを演じている。このアサドは、ベレスがACミランを2-0で破った94年トヨタカップのFWだった。ゴール際の角度のないところから、カーブをかけたシュートで2点目を決めてMVPになっている。これまでトップチームの監督経験はないが、デビューシーズンで素晴らしい仕事をこなしている。しかし第17節で下位のロサリオに痛い敗北を喫してしまった。優勝争いの上位4チームで、今節勝ったのはエストゥディアンテスとアルヘンティノス。勝ち点はエストゥディアンテス36、アルヘンティノス35、ゴドイクルスとインデペンディエンテは31となった。残りは2節。ゴドイクルスの優勝は、これでほぼなくなってしまった。

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